感想十番勝負 後半戦

はいはい、後半五本ですよーい!
寒暖差アレルギーにも負けずに頑張りますよーい!

つか、あの、なんか、もう私の鼻に、あのナイアガラが?って位、滝ってるナウ!な状況でして、しかも鼻水がサラサラで無色透明なものだから、止め処もなく流れ落ち、その軌跡は結構キラキラしてて、「え? 今私輝いてる?」とか思ったり思わなかったり、御覧の通り意識が朦朧としてきていたり、最近一番ショックだった事は、妹と惣菜のささみチーズ揚げを三個ずつ分け合って食べた後、胸焼けが止まらなくなって風呂場で洗髪中に小粋に嘔吐に至って、喘息患って以降、嘔吐と密接な関係を結びつつある私自身に「やばい…私、ヤンデレみたい!」とか多分色々間違いすぎている恐怖を抱いてみたり(そもそもデレる相手もいない)(←ここ、泣くとこな!)、妹は全く不調に至らなくって、自分の加齢を実感したり、何が言いたいかっていうと、マジこの鼻はもげてもいいって願える位に、今鼻が辛いって事です

おおぅ…ほんと、気温空気読んで?
そろそろ、最低気温と最高気温の差とか、こんなに開いてなくてもいいかな?って気付いて?
二人の距離を、もう少し縮めて?

なんだ、遠距離恋愛か! 会わない時間が二人の愛を育てているのか! 月に一度、夜行バスに乗って彼女が東京で暮らす彼氏に会いに行っているのか! うん、分かってる、私は今、迷子ですっ!(断言)

と、まぁ、それっ位辛いので、兎に角ティッシュをですねぇ、鼻に詰めてナイアガラの奔流を防いでいる私がいるのですが、三十路女が両鼻の穴にティッシュを詰めて書いている感想文だと思えば、何が書かれていても馬鹿馬鹿しくて、真面目に受け止める気にならないでしょうから、そういう感じで今回も広い心で、他人の感想は自分の感想とは違って当然と思いつつ読んでくだふぁい(へぶしゅっ!)


M&Oplaysプロデュース「八犬伝

河原雅彦×青木豪 どないなもんや?の、組み合わせ
お誘いを受けて、9列目という素敵な席で拝見できました

結果、超超超超超超超超おっもしろかったああああああああ!!!!(両手挙げすぎて脱臼の勢いで)

脳汁がドバドバなるような面白さっぷりに、手に汗握って、大興奮で観劇致しました
つか、あれだな
マッチャーと書いて、天才と呼びたいな
小劇場から、中規模劇場、大劇場までお任せ!な、万能っぷりと脅威の発想力
広い劇場の空間を、プロジェクションマッピングだの、書割だの、抽象・具象入り混じっての埋め具合
セットも、衣装も大変よろしうござんした
つか、演出すげぇ、すげぇ
すげすぎて、もう、拝むレベル
拝んで御利益あるレベル
私が、大好きな派手具合に、暗転のない場面転換、笑いと、破天荒を入り混じらせて、八犬士全員に見せ場はあるし、立ち回りは多いし、スタッフワーク素直に驚嘆だし、ACの皆さんの殺陣も堪能だし、どうするよ?
こんなに楽しくってどうするよ?なお芝居でした

「芳流閣の場」での、八犬伝屈指の名シーンなんか、屋根で、しゃちほこで、灼熱の瓦の上で、鎖鎌だし、太鼓が出てきて、乱れうちで、もうもうもう! 何言ってっか、観てない人分かんないだろう?
分かんなくて当然なんだよ

でも、観たから言・うー!!!!(むかつく表情で)

最高…!(吐息混じりに)

あすこの、信乃な阿部サダと、ドラマで見て以来大好きで、大好きで、「この人、ギンギラギンにさりげなく、超芝居が巧い!」って惚れ込み過ぎて、今回生で初めて観れて、本当に良かった!な、現八演じる尾上君が、両雄合間見えての大立ち回り!

かっこいいやら、面白いやら、面白いけど、格好良いやら!

もう、目玉爛々とさせて、瞬きが惜しい位に見入って、笑って、手を打って
あの、太鼓の乱れ打ちの後、反応薄いのが特徴の名古屋なのに、万雷の大拍手が巻き起こって、私もぴゃーーーー!ってなりながら、手が痛くなるまで打たせていただきやした!
だって、楽しかったし、凄いって思ったし、本当に久々に心から「拍手したい! 拍手させて下さい、お願いします」って思える名場面を目の当たりに出来て、あー、今思い出しても、脳汁ぶわーってなっております

今回、観ている十本の中で、一等好きなお芝居だったなぁ…
こういう芝居観る為に頑張って、こういう芝居観て元気を貰って、そういうのが一番いいって思えるそういう類の超絶エンタメでした

音効もビシーッと決まってかっこいい!と思ったら、そこは、新感線にも参加されている大木さんだし、殺陣指導は前ちんだし(つか、パンフの座談会の後半が八犬士、前田悟を語るのコーナーになってて超絶嬉しくもあり、何故、もう新感線公演に参加しないの?と寂しくもあり… 何にせよ、ここでも「素手で人を殺せる」ネタを披露されてて、大変ニヤニヤしちまいました)新感線好きなら、このお芝居好きなのもむべなるかな…と大納得

私は原作知らないんですけど(だから、御存知の方からすると「大分違うよー!」って感じらしい)ラストの結論とか、凄く納得させられた
大義も使命も、運命も、何もかも嘘っぱちの滅茶苦茶で、だから、もう、そんなものには振り回されねぇ…!って、いいなぁって思って、素直に思えて、本当にスカッ!とした
青木さんの御本、さして得意でなかったけど、河原さんとの組み合わせで、こんなに楽しくなるなんて!って、驚きでした

役者もねぇ、阿部サダは勿論絶品過ぎて、世界が恋するレベルだし、ヒロインの二階堂ふみちゃんが大変宜しかった
初舞台との事でしたが、声がいい! 所作もいい! 特にラストの体を乗っ取られてからの姫役が、ふんっとおおおに良かった

なんじゃ、あの声!
すげぇなぁ!!!

尾上君とか、何もかも良かったし、近藤さんも生真面目で切なくて凄く好きなキャラでした
瀬戸君の荘助は、この世の何より、どんな存在より信乃が大事!という、若干狂気に足を踏み入れているレベルの気持ちが、素直に伝わってきたし、太賀さんも難役なのに上手に演じてらしたし、津田さんも声も立ち回りも大変宜しかった

あとねぇ、にゃん九!(十一ひきのねこより)(この芝居の感想書き損ねてますけど、超絶大好きなお芝居です)じゃなくて、小文吾も可愛くて、動けるデブの面目躍如たるところがありました
田辺さんに関しては、ラスト、三人相手に回しての長物での大立ち回り、お疲れでやんす!と伝えつつ心から言いたい

おまい 殺陣でけるやんけ?
ブンブンブーンの、どーん!ってやっとるやんけ?
なんで、新感線ではせん?
ムッチーで闘ったりしたらええやんけ?
荒神とか、殺陣ない方が不自然なキャラやんけ?

あん時から、大分年いってから、なんで、この大立ち回りか?
なんで、ここにきて、間合いの難しい長物に挑戦か?
ハラハラ見守る私を「あの子、大丈夫かしら?」ってお母さんの気持ちにさせる作戦か?(どんな意味が…)

新感線でも、殺陣やらんかああい!!!と怒りを覚えつつ、タッパがある人が動くと、少々動きに難ありでも、やっぱ見栄えすんなぁ…という感想を抱きました
あと、本人が全力で幸せそうにギャグぶちこんでくる姿を見て「嫌いじゃない! あたい、そういうあんたの事嫌いじゃないよ!」と思わされて悔しい私もお伝えいたします

そいで、最後に毛野役の中村さん…
これ、若い役者がみんな羨む役でなかろうか?(特に、小栗監督とか、こういう役演りたくて堪んないだと思う)という素晴らしい役でひたね
妖艶で、哀しくて、男としても、女としても生きれない難な役が素晴らしかったなぁ
最後、舞台の真ん中で見得を切っての口上は、後ろにあれだけのメンツ回して、役者冥利に尽きるってなもんじゃなかろうかしら?
美しくて、複雑で、はぁ…いい役でしたね

あと、横山さんが最早、殺陣の化け物の領域に突入してたとか、前ちんは、相変わらず人殺しの殺陣と無駄な小ネタが魅力的!とか、内田滋さんが絶品で声も姿も宜しくて、女の人の出演陣ふみさんと自分だけの状況で、三役こなされて、どれもすんげえええよくって、今回、私にとってのめっけもん!って事とか、とにかく出演者みんな素晴らしかった!
大拍手!

人が斬られた時の、背後の影が血しぶきが飛んで崩れ落ちたり、鴉になって胡散霧消したりとかの表現も、「人が死ぬ」って事を生々しく、それでいてけれん味たっぷりに表現してくれてたと思います

殺陣が好きなんで、こんだけ、手数が多くて、立ち回りのある躍動感の一杯の、凄く良い芝居が観れて僥倖極まりなかったです
こういう類の、これからどんどん増えてったらいいのに!と思いつつ、最後に、再度演出のマッチャーを絶賛したいと思います

もううう! 天才っ!!!!


はい、じゃあこっから、GWに観た作品突入です



まぁ、今回東京四泊五日ってんで、芝居八本観ておきながら、ジブリ森美術館に行ったり(子供がいっぱいだったよー! ちったい子らが猫バスできゃっきゃしてるの見て、なんでか涙ぐんだりしてしまってたよ。 うん、病気じゃないよ?)(つか、短編映画を見せて貰ったのだけど、それがトトロのメイちゃんの大冒険なお話で、決して悲しいお話じゃないのに、見終わった時に必死に涙を堪えていた私がいて、小さな子供が懸命であるというだけで泣きそうになる年齢になったのだなぁと気付いてしまったよ。 うん、だから病気じゃないって)(あとジブリイバラードの密接な関係ってのは言うまでもないんだけど、そのイバラードの絵が飾ってあってね、一緒に行った妹に虚ろな目で「このイバラードの作者である井上さんの家に、粟根さんは遊びに行った事もあってね? FAXの絵自体がイバラードの世界観に満ち溢れていたそうだよ? というか、このイバラードの世界を題材にした短編映画を上映している日もあるらしいのだけど、なんだったら、粟根さん声優させて貰えばよかったのにね。 神木きゅんが主人公の役をしてるらしいけど、うん、大体、一緒のラインだし(同じ種族だし)、この役やっても良かったのにね」と延々語り続けたのは、病気だと認めるのもやぶさかではないです)巧い飯食いまくったり、ミュシャ展いったりと盛りだくさんに過ごした私なのですが、出だしから、絶好調で、またしても、新幹線内をパンツ丸出しでブイブイ歩いてみたりしてみて、もう、事あるごとにパンツを見せまくってきたせいで、この程度のパンツ丸出し事件など「平凡パンツ」ってなもんですよ!

うん、書いてから凄い後悔した
この後悔、ただ事ではなさすぎる
今すぐ、ちょっと私の首を誰かぎゅっとして欲しいレベル
もう、絶対書かない(固い決意をこめた表情で)

で、まぁ、今回の新幹線パンツは、通路挟んで隣の中年女性の方が慌てて、転びそうになりながら飛んできてくれて「見えてる!」と教えてくれて事なきを得たのですが(劇場のトイレから出て来た時も、とあるイベントにお邪魔した時も、パンツを注意してくれる女性が現れてくれて、本当に助かっておりますって言うか、まぁ、そんなにパンツ見せる私とか、ほんと、そろそろ逮捕されて然るべきだよね! 法治国家に対する挑戦と見做されても文句は言えないよね! つまり、パンツテロリストだね!)東京ではさしたるドジもなく(なかったよね?)楽しく過ごす事が出来ました!
お泊りさせてくれた友人や、遊んでくれた方々、一緒に過ごしたお友達に大感謝でごんすー!ってんで、最初はレミング

パルコプロデュース「レミング

寺山修司没後四十周年ってんで、私、実は卒論が「毛皮のマリー」な女なので、これは観ておきたいなあと思い、チケット押さえて行って参りました

はぁぁぁ…もおお…溜息が出る程美しい、美しいお芝居でした

本当に美しかった

舞台の美しさにあんなに圧倒されたのは初めてかもしんまい
そん位美しい

私にとっての寺山修司の演劇イメージは、猥雑で、エログロで、見世物めいていて、アングラで、もっと、もっとおどろおどろしいものでした
体育座りして、隣の客とぎゅうぎゅうにくっつきあいながら、床に敷いたゴザに座って、息を潜めて観る
あれを観に行ったなんて、おいそれと、口に出来ないような、そういう類の演劇
実際、犬山デブ子の犯罪とかの写真を見ると、想像通りの醜悪な妖艶さで、天井桟敷のチラシを見ても方向性は明らかで、だから、そのイメージを完全に裏切るおしゃれで美しくソフィスケートされた世界に、私は素直に驚きました

音楽もJA・シーザーじゃないし、だから、そういう「らしさ」は一切なかったといって良いでしょう
演出をされた維新派の松本さん色に染め上げられたと断言できる
アングラ演劇を観に行くつもりで行ったならば(まぁ、キャストを見て、そう思う人は皆無でしょうが)きっと肩透かしを食らう

いかがわしさなんて一片もない、綺麗で無機質でモノクロの世界

逆に、キャストを目当てでいった方は、それはそれで面食らったでしょうなぁ
寺山修司なんて美輪さんの談話で耳にする位の「それだぁれ?」って人だって、あのキャストなら行かれると思うんです
すると、「え? これ、お芝居?」ってなる
実際、私達の両隣が「意味分かった?」「全然」って言い合ってた
筋が明確にある訳でもない芝居なので、分かるも何もないのです

私、これターゲット何処よ?って思って
だって、そうじゃないですか
寺山修司天井桟敷が好きな人も、キャスト目当てな人もがっかりするでしょう
それこそ、没後四十周年ってぇなら、メジャーなキャストじゃなくて、神社の前とかでテント立ててやるのが筋じゃないんですかねぇ?
情けない話、この舞台の話題のされ方は「常盤貴子が、太ももを露に!」「大胆スリット! 常盤貴子の露出!」とか、そんなばっかっですぜ?
どうするよ。
貴子の太もも目当てに来た善良なおじさんとか、ポカーンもええとこやないか
だから、何処の客層を目当てに作られた芝居なのか、余りに明確じゃなくて、そこにも驚いたんですけど、あえて断言できる事があるとすれば、ターゲットは…私でしたな

あの、凄く好きなお芝居でして、なんだかピンポイントで突かれたみたいに好きなお芝居でして、でも、こんなに好きな綺麗なお芝居だけど、どこを狙ったの?って、しみじみ不思議でしょうがなかったです
維新派が好きな人とかも、きっと楽しめたろうなぁ
ク・ナウカとか、とにかく綺麗な舞台が好きな人とかね

逆さまの都市が空に黒い影となって浮かび上がり、黒い衣装を着た群集たちが言葉遊びを連ね続ける
ザコンの兄と、ファザコンの弟が住むアパートの壁が突如消失し、そのアパートの畳の下には、年老いた母親が「老人愛護協会」に回収され安楽死を強要されるのから逃れる為に閉じ込められ、畑を耕しているのだ

後は降り注ぐ美しい言葉の数々
湧き出でる言葉の群れ

レミングとは、鼠の名前
集団自殺する鼠の名前(これは、誤った認識だそうですが、この芝居が書かれた時代には信じられていた説です)
三、四年周期で数を増減させ、行き先を見失い海に飛び込む鼠の名前

主人公は、アパートに暮らすコック見習い兄弟の兄です
だけど、主人公という言葉が無意味なほどに、色々なイメージが行き過ぎ、展開されていく
主人公ではなく、一貫したキャラクターである兄と弟は案内人のようなものであり、観客の共感装置でもあるのでしょう
しかし、途方もない台詞量と一糸乱れぬ動き!
どれだけ稽古したのか…と感嘆するばかりです

八嶋さん、よかったなぁ…(悔しげに)
くっそ…あの人がいいと、何故こんなに悔しいのか…

小癪な感じがするから?
如何にも器用そうだから?
ソツのなさが腹立つの?

てか、ココリコミラクルタイプに出てたからかしら?(あの番組のコントで、焼肉屋で一人で食事をしている女性を、八嶋さんが彼女と一緒に手を叩いて嗤い、あげらつらい、馬鹿にし続けるというコントがあって、しかも、常識のない側は一人で食事をしている女性の方という描かれ方をしていて、本当に見ていて胸糞が悪くて悪くで、どうもそれ以来、あまり好かないと思ってる癖に、ナイロンの「消失」とか八嶋さんの役凄い格好良すぎて好きすぎて、どうにかなりそうだし、踊るの灰島も最高大好きだし、もう、どうしていいのか分からない位、私の中で持て余している役者。 それが八嶋さん)

何しろ、本当に良かった
こういう美しいばかりの舞台の上で、あの人の小柄さと、動きの緩急がアクセントになってて、中心人物である事に説得力を持たせるキャラクターっぽい異質さが本当に良かった
寺山修司に八嶋さん?と当初感じた疑問を払拭してくれた(ただ、松本さんの演出であるという事も大きいなぁ)
清潔感や、振り絞るような必死さとか、ふっと黙りこくって汗に濡れながら、一人ぼっちで立ち尽くす姿に在る独特の色気とか、本当に素敵で、声も、言葉のリズムも最高で、なんか、もう、本当に悔しい位いいなぁって思って観てました

弟の仁ちゃんも、良かったよー
さすがMrフォトジェニック
松本さん演出の、寺山修司脚本の舞台に仁ちゃんってのは、最良の選択でないかしら?
てか、もう完全に舞台の人ですおな!
えっと、ラーメンズは…?(二回目)
兄は己の壁の中に閉じこもり、弟は羽ばたくように旅立っていった
レミングとは、すなわち自立の話だなぁと思って見送りながら、そういえば、弟は一度だって母親と言葉を交わさず、絡まずに消えていったのだと思って見送った
寺山修司にとっては、母親は溺愛と、憎悪と、呪いと、祝福と執着と疎ましさと…とにかく、マザコンというものを病のレベルにまで突き詰めた男が寺山修司であり、全ての作品に母がいて、全てが母に根ざしていて、弟は寺山修司がなりたかった存在なのかしら?とかって、考察するのもおこがましいし、そういうのは卒論書くときに、一杯書いたので、もういいです

常盤貴子さんは、とにっかく美しかった
美しくって、美しくって、堪らなかった
長塚め!と、羨ましく思うほどには美しくて、声も宜しかったし、スタイルも舞台栄えしておりました
他の意味は何もないです
美しい舞台の、美しい女優
美しい狂った女優
ただ、天井桟敷には出る人ではなかろうて
だから、寺山修司の世界でない人だと思うし、それは、前述の三名にも等しく言える事だと思う

あくまで、松本さんのレミングだからこその、キャスティング

そして、今回最大に私を「どうしてあるの?!」と気にならせた松重さんは、大変愛嬌のある、悲劇性の極めて少ない、妄執の欠片も見えない、そういう母親で、松重さんの母親役の意味は、寺山修司の根幹にある「母親」への怨念を一切消し去ろうとしての事だったのだろうか?とぼんやり考えました
何しろ、松重さんだもの!
もぐらたたきのくだりでは、「わぁ! 松重さんが一杯!」といういい感じのお笑い悪夢具合で、こういうふざけ方、とっても好きでしてよ!と、くっくっくっ…と肩を震わせました

コントだもの
ちったい八嶋さんと、でっかい松重さんが母と息子だなんて
そこに愛憎も、恩讐も、血の呪いも何も見出せないもの

私、ずっと床の下から頭出してた松重さんが「どーーーん!」って全身出てきたとき、頭の中で「立ち上が〜れ〜♪ 立ち上が〜れ〜♪ 立ち上が〜れ〜♪ ガンダムー!」って初代ガンダムOPが脳内に流れまして、煙草の箱的比較対象物として隣にちったい八嶋さんがおるけん、ひたすら「で、でかい!」みたいな「起動音が聞こえる!」みたいな、人間じゃないでかさに見えて、大変面白かったです
あの人、多分デカイからキャスティングされたんだと思う(確信)

ただ、ここまで「寺山修司の世界ではない」と言い切りながら、台詞の力というか韻の踏み方や、言葉の力というのは、やっぱり尋常でないものがあって、「はないちもんめの歌」とか、「囲碁の都市計画」とか「行き過ぎよ影」とか、滔々と流れいく言葉に打たれ、貫かれ、うっとりとさせられました
場面、場面の世界観も面白くって、天井裏の散歩者が語る夜空に光る星々は覗き穴であり、我々は全て覗かれる対象であるという話や、世界の果ての在り処、マンホールの下に広がる世界の話等、名もない群像達が語り、そして去っていく全ての言葉達に耳を傾けて、私はどんどんと浮世が遠ざかっていくような、そんな感覚を覚えました

特に、壁に囲まれた部屋に捕らわれた男二人の短い物語は、酷く切なくて、寂しくて、壁に開かれたドアと出て行く自分達を描き、本当に外へと出ようとした時に「何もしなかった罪」でマシンガンによって撃ち殺されるまでの、ただ、それだけの物語を私はきっとずっと忘れないだろうなぁとも思っています

そして、音楽に一切興味を示さない、そんな私がメタマクに次いでCDを買ってしまった原因であるレミングの主題歌
「comedownmoses」

『 みんなが行ってしまったら

 私は一人で手紙を書こう

 みんなが行ってしまったら

 この世で最後のたばこを吸おう』

この歌いだしで始まるこの曲は、寺山修司作品の最期の公演でもあるレミングの主題歌であり、しかし、この歌が通して歌われたのは、彼の葬式が最初だったと聞きます

山口瞳のエッセイにおいては

「泣きながら歌っている少年がいる。歌い終わっても号泣のやまぬ少年がいる。その少

年たちを放り出すようにして、二人、三人と連れだって自分の席に戻ってくる。その

タイミングが実によかった。

隣に座っていた息子が赤い目で、

「寺山さんの芝居は全部見ているけれど、寺山さんの演出では、これが一番よかった」

と言った。死んだ寺山が自分の葬儀の演出ができるわけがないが、私もそんな気がし

た。

と書かれており、私がその場に居合わせたなら…と考えるだけで、鳥肌の立つような、きっとそんな心地になったであろう事を確信しました

この歌はラスト「一番最後でいいからさ 世界の涯てまで連れてって! 連れてって! つれてって! つれてって!」という絶叫で終わります
この曲が私は大好きになって、ずっと脳内で止まらなくなって、今も鳴ってて、レミングの中で、何処かのボロアパートの部屋にあると語られていた「世界の涯て」の事を考えています

寺山修司の作品でありながら、全く違うものとなりつつも、それでも、私はやっぱり、こんなに「ああ、いいものを観た」と思えているのは、寺山修司の書く「言葉」が「哲学」が「思想」が好きだからなんだろうなぁと思いました

しかし、今回観て、寺山修司天井桟敷以外で演るというのは中々良いと思ったんだけど如何かすら?
それこそ、「毛皮のマリー」は、花組とかぴったりだと思うしスズカツと篠井さんで観るのも素敵だと思うのだけども!


オーヴ版「二都物語

あい、若干閲覧注意物件ですよー?な、「二都物語
何故かっつうと、私にとって熱意をもって語る程の芝居ではなかったからです
いや、悪かったってんじゃなくて
てか、悪かったなら、もっと別の熱が入るんですけど
そういうんじゃなくて、「普通に面白かった」というお芝居でしたので、このブログを御覧になって下さる人の中での剛ファンの割合を考えると、事前注意を促しておきます
普通の感想文です
詩的にもなりませんし、ポエミックになる程の熱意もこもってません
辛口ではないのですが、絶賛でもないので、熱狂した感想文をお求めの方は、是非読まない方が良いです


つか、ここに至るまでに上記の通りちょっと続けて芝居観ておりましたので、気持ち的にも「芝居が好きな人間」としての感想になるんです
剛が好きな人間としてよりも
固定のファンが書く感想文と、そうでない人間の感想文って、そもそも別物じゃないですか?
だから、需要とされているものである自信はないです

それもこれも、八犬伝が良すぎたんですよう!
大きな舞台で、さして大所帯ではなく、あんだけのもんを見せられた後に、同じく大きな劇場での、こういうエンタメ色強いものでしょ?
舞台同士の比較なんて、馬鹿馬鹿しいのは承知の上で、それでも、同じステージに上げて考えてしまったのはむべなるかな…と思ってください
いや、まぁ、その位、これまでの剛出演作に比べたら、本当に大衆性のある、そういう作品だなぁと思ってみて、普通に観終って「おお、こういう感じか」と思って帰ってきました

脚本はNOMOの土田さん
私は土田さんの作品だと、やっぱり「約三十の嘘」が好きな人間なので、「ウェルメイド」な人のイメージが強くて、こういうのもお書きになれるんだなぁと思いました
でかい箱用のスケールのでかい話
私が好きな土田さんの描く「性格の悪くて、苛立ちを誘う間の悪い人間」がいなくて残念だったなぁ
つか、オーヴで観るの初めてだったんっすけど、まじ広いのな!
横に広い、広い! べっくりした!
だもんで、その割には隙間とか、空間の密度の薄さが気にならなかったのは演出がよかったんだろうなと思ってます

後は、小澤さんが良かった
あの人の、朗らかで不器用な真っ直ぐさと舞台栄えのする姿勢や立ち姿は大きな舞台にあっても、見応えがあって私は好きでした
育ちが良い人間ならではの品の良さとかね
堀北さんも、顔が小さくて、どんな表情かとかは一切分からなかったけど、でも、上品なお嬢さんっぽさは伝わってきて良かったです
じゅんさんは、声がヤバくて、「新感線より台詞量多いしなぁ」と思ってたのですが、新感線におけるじゅんさんと何一つスタンスもメソッドも変更なしに演じてらして「大きなハコでは、こんな感じ!と決めてるのかしら?」と思いつつ、愛しい、愛しいと思って見つめさせて頂きました
たくさん笑わせてもらったし、客席を凄く味方につけてて、大きなハコ慣れしてる人間の強さを目の当たりにしたような気がします
結局、あの人は芝居がというの以上に空気を作るのが巧い人なんだよなぁ!

どういう役割で呼ばれたのか
自分の仕事は何か
そういうのに忠実…とは言いがたいですけど、随分遊んでましたけど、ていうか、遊び八割の仕事っぷりでしたけど、最後の最後で、あの台詞とかは「流石」の一言で、アレは土田さんの卑怯さであり、じゅんさんの実力でもあるよなぁと思いました

まぁ、とにかく感想を言うとするならば「色々あるけど じゅんさんは今日も元気です」で大体済むじゅんさんでした
あー、じゅんさんだった!

んで、しんぺーさんですよ
私「十一ひきのねこ」からこっち、大好きなお人ですよ
「ある女」も大変宜しかったしんぺーさんは、「二都物語」でも大層格好良くて、スズナリで見てもオーヴで観てもかっこいいしんぺーさんってなんてかっこいい!ってなりました
まぁ、あの人の良さは声ですよね…(うっとり)
いや、あの瞼の重たげな目も好きなんですけどね!

素で性悪の声なんだもの
悪辣で、軽妙で、小ずるいあの声
あの人程「ひっひっひっ」って上手に嗤える人を私は知りません

しかも、今回はペシミストな卑劣感で、企んで、人を陥れてナシメを死にまで追いやるってぇんだから、小悪党冥利に尽きるってなもんでしょう
やー、格好いかったなぁ
私の好きなしんぺーさんを、一杯観れた
満足!!

そいから、やっぱ一番いいなぁって思えたのは須藤さんでしょう
間違いないでしょう
ひゃー、強い、強い、強いから切ない
硬く硬く打った刀のような、真っ直ぐだけど、歪みもしない、だからこそに危ない、そういう女
圧制の下、復讐心だけを心の支えに行き続けて、それで自分を真っ直ぐに鍛えて、復讐を果たす刀として生きて、だからこそに、あんな最期を遂げて、それでも私は、あの人が折れなかった事が良かったなって思ってしまった

親の罪は子には関係ないさ
それでも、一族の復讐心を全て背負ったかのような彼女にとっては理屈とか通用しなくって、ああ、切ないなぁ、切ないなぁって思いながら観れたし、そういう風に切なさを感じられたのは偏に須藤さんが良かったからなんだって確信しております

あとは、大杉さんは私的には勿体無い感じでした
あの人は体を動かすと、本当に綺麗な人なので
こういう使い方かぁ…勿体ないなぁってのと、投獄され、絶望を舐め尽くし、精根尽き果てて尚、娘を愛し続けた父親役の割に父性というよりは、男な感じがして、もうちっと色っぽい役にするか、もしくは、もうちっと枯れてしまってるような人を父親役にした方が…という印象を受けました

同じく、壌さんも勿体無いお化けが出る勿体無さにありましょう
私、蜷川版・藪原検校で、壌さんの語りに痺れまくって、痺れまくって、もうメロメロにされっちまって「なんじゃ、あの声!」って、そりゃ、人間国宝狂言師茂山千作に師事し、劇団四季とかも経ちゃってて、経歴が違う
実力が違う
ああいう人には、長い詠うような台詞言わせないとダメだって!と、何度拳を握り締めて思った事か
壌さんの地を這うような、節の聞いた長口上を聞けると勝手に思い込んで、私なりのハイライトに据えて望んだのに!
勿体無いっ! 勿体無いよお!と、今訴えておきます

ほんと、勿体無い!

あ、港カヲルさんはねぇ、カヲルさんでした
みんなのカヲルさんでした
正直、じゅんさんとカヲルさんとか、揃えると完全に「轟天VS港カヲル」の世界を脳内が勝手に繰り広げてしまう私なのですが、勿論、ディケンズ原作、土田英夫脚色の世界には、一切二人の対決シーンはなく、ただ、カヲルさんのじゅんさんとは別の意味での奔放なカヲルさんっぽさに、「ここだけ小劇場!」と嬉しくなってみたり
可愛い人だったなぁ
カヲルさん、きゃわわ!

まぁ、じゃあ、剛ですよ
満を持してですよ
言葉を選んでいる私がいるわけですよ
はい、もう、どうしましょう?
どう書いたらいいんでしょう?
衣装格好良かったとか、そういう外見的な事を書き連ねても、アレなんで、言語化がきちんと出来てない曖昧な表現になるのですが、今回エンタメ性の強い大衆性のある演劇で、小劇場系舞台役者や、テレビ俳優や、とにかく色んなジャンルの役者さんと共演して、相対的に観る事で気付いたんですけど、あんなに芝居に染まろうとしない役者も珍しいと思う位、別の仕組みの上で芝居をするんだなぁと感じました

全然違うのな

違うってのは「上位次元にいる」とかそういうんじゃなくて

全然違う世界で芝居をしてるって事で、私は蒲田を観てないので、あれはつかさんとこの芝居なのか、どうかも定かではないのですが、どの台詞においてもテンポの早い詰まった声で叫ぶような、吐き捨てるような、ぶっきらぼうな一本調子の、緩急も抑揚もない、ああいう台詞の言い方は、私の中では昔の演劇のような、少し古い時代の劇団芝居によく観られたような印象があって、あれは何処で覚えたお芝居なのかなぁ?と思って観ておりました

ただ、昔の演劇のような…と思いながら、「じゃあ、何処の?」って聞かれると凄く困る

強いて言うなら、飴箱っぽい?とも思うのですが、飴箱程真っ直ぐ過ぎないというか、性根は明るくないというか、ただ、その決して「技術巧者」に見せない芝居の在り方が、唯一無二の存在として、舞台の主演という確固たる存在感へと繋がっており、同時に誰とも馴れ合わない、誰にも染まらない、誰にも侵されない、1人ぼっちの孤高の孤独なスクネという人間の、人間たる所以であるかのような感覚を想起させて、もし、あれが計算であるのなら、とんでもねぇなぁ…と思う他なかったのです

あの人が、一度だけ調子を変えるんです

一度だけ、スクネは他人の魂に寄り添う
その台詞が「信じて」

あの瞬間、全てのそれまでの演技の答えが、延々と描き続けてきた計算式の答えが目の前に提示されたような、瓦解という名の美しい結実を観たような気がしたのです

あの台詞の為に
あの答えの為に
今までの芝居があったのだとすれば、それは恐るべき化け物でしょう
化け物です

何をどう思っていたのかは分からないのですが
私は、剛という役者に、更なる謎を見出した
私は、あの人の、仕組みが分からない
分からないから、もっと観たい

スクネは、私にとってそういう役でした
彼自身のキャラクターに関してというよりも、スクネという役に対しての解釈と取り組み方の理由と、意図を知りたいと思わせる、役者剛に対する興味を更に深めさせた、そういう役でした

話の内容は、たくさんの劇場にたくさんのお客を呼んで演るには妥当だったんじゃないですか?
あんまり深く掘り下げたい類の話では、私にとってはありません
そういう事を考察する熱意までは抱けませんでした
まぁ、ここまで距離を取ってしまうのは、エンタメ性という点においては「八犬伝」、美しさという点においては「レミング」、そして、役者冥利・ファン冥利に尽きる芝居という意味では後述する「葛城事件」を観ているからに他ならないでしょう
相対的に見て、どの点においてもそこそこの点数は得ているけれども、感銘を受けるほどまでには達してない芝居であると私が感じてしまったので、もう、仕方がないのです
ただ、勿論、口を酸っぱくして言いますけど、感想なんざ人それぞれなんですから

私と、貴方は違う人なのですから

そして、高いお金を払って観た芝居、感激して、熱狂して、愉しめた人間が一等得をしているのですから
私は少し損をした人間なんだと思っていただいて、この芝居を心底愉しんだ人が不快を覚えたら、私を哀れんでくれれば結構です



THE SHAMPOO HAT 「葛城事件」

これは、大変、私の好みに合致した芝居でした
超がつくようなプレミアチケットになってしまったのを、運よくお譲り頂けて、行ってきましたよ千秋楽
二度目のスズナ
「ある女」でも「ほ、崩壊しない?」と怯えた劇場に、通路まで埋まるほどの人がつめかけて、当日券にはずらりと人の列
景気がいいねい!と素直に言えない私は、勿論新感線ファンだからで、普段この劇団が好きで、普通に公演観てる人は、きっと複雑な心境であろう…と、客演によってチケットの取り難さが左右されるのが当然の劇団ファンの私は思うのでした

とはいえ、私とて、人の事は言えやぁしないのです

私と妹の間では「暴力」で通じる、新井浩文舞台初降臨
しかも、鈴木砂羽ちゃんが共演とあって、はい、役者目当てです
映画「夜の侍」への評価は低い癖に、「スズナリの距離で暴力の暴力が観たい!」という欲望だけで私は劇場に向かう事にしてしまいました

いやああああ、もおおおお、絶品!

観れたよー! 暴力の暴力を観れたよー!(自慢)

私のこれまで見た中で一番痺れた新井さんの暴力は、「けんたとじゅんとかよちゃんの国」における鉄板に松田・弟の手を押し付けてジュー!の刑と、「隣人13号」の「ハーロックの声優とか、小栗・どうしておまいの仕事選びは超ヤバイ物件ばかりなんだ・旬を、仮設トイレに閉じ込めて、外から蹴りまくる」とかだったりするんですが、呼吸するみたいに暴力を奮うドクズの、最低の化け物の役は、あの人の十八番で、死んだ目はどんどん生気をなくていってて、生きてる事自体がしんどそうな有様に、「やっぱ、シビれるわ〜」とわなわな致しました
生きているけど、死んでる男みたいなね
ゾンビ感がパねかった!
そういや、血色もあの人悪かった!

まぁ、だから、客演だし客の観たい新井さんを見せてくれるよねーってんで、初生THE SHAMPOO HATは、ポツドールとどっちだろ?級のヘヴィさで、ハイバイとかのが、まだ、ポップ&キッチュだよ!という、重油級のドロドロさでした

題材は「付属池田小事件」
小学生児童八人が、突然乱入してきた男に刺殺されるという痛ましく、おぞましい事件の犯人役を新井さんが、そのプライド高く厳しく、彼の人格形成に一番深く関わっているであろう父親役を代表の赤堀さんが演じられました

つまり、一遍の浪漫の入り込む余地があってはならない芝居でもあったのです

映画よか、やっぱ、赤堀さんのお話は、舞台のがずっと良いんじゃないかしら?と思ってしまったなぁ
映画ではマイナス要素として観れなかった全ての点が舞台ではプラスに作用していた

一貫しないキャラクター
不意に差し挟まれる日常と、滑稽な暴力とのテンションの差異
理不尽がまかり通る事に対する説得力

謡曲をバックに、最早朗らかの範囲に達する位の動きをもって見せられる暴力は舞踊にも似ていて、私は父親にタオルで首を締め上げられながら「もう、しません 殺さないで!」と叫ぶ新井さんの姿に超興奮していました

「死ね」って思った
心底、思った
お前なんか、死ねって

こいつが惨めに死ぬとこが観たいって
あれは、どういうテンションだったんだろうなぁ?
私の興奮の成分には、恐ろしい事に、若干「正義心」みたいなのも含まれていたように思われて、だから、怖いなぁって
人は、「正しい」と思って、人の死を見たがれる所があるんだなぁって、葛城事件で、私は私の中の闇に少し触る事が出来ました

息子を殺せなかった父親に、弟に虐げられ続け、搾取され、己の息子を傷付けられた兄が言うんです

「なんで、殺さないんだよ 責任取れよ」って

それまで、その兄は、母親と二人で父親の金を持って狭いアパートに逃げ込んだ弟を追いかけて「父親がもうじき来るから逃げろ」って言っていたのです
二人は、コンビニの蕎麦を食べてて、そして三人で「最期の晩餐に食べるなら、何食べる?」って他愛もない、本当に他愛もない、そんな話をしていたのに
弟が言う「うな重」に「お前にしては、つまらない」って首を傾げていたのに

「責任とってくれよ」って

そのお兄さん役の人、
日々大介さんが本当に良かったなぁ
弟が死ぬほど嫌いなのがずっと伝わってくる、そういうお芝居をして下さっていた
カラオケスナックでねぇ、歌うんです
弟は、スマップを モー娘を
新井さん、間違っても「CDデビュー!」とかせずに済む歌声で、ふらふら体を動かしながら歌って、その背後では新井さんに殴られた女が目の周りを腫らして座ってたりとか、折角購入した高級車を弟に滅茶苦茶にされた兄とかが座っていて、そういうシーンにおける日比さんは絶品だった
気弱な声とか、態度とか、卑屈な眼差しとか、それでいて怒りを溜め込んでいる小さな体とか

なんで、あんな弟の兄に生れちゃったんだろうね?っていうね、そういう人
真っ当ゆえの自殺という結末が、これ以上なく納得できる人

その容赦のなさは、現実の事件そのままで、現実にあった事なのに、いえ、だからこそ、私はヘヴィーだなぁと思いながら、私の好きな世界だ…とも思ってました
この世界には、この情け無用のコールタールのような重さ以外、在ってはならないと思ってしまいました

ていうか、役者さんはみんな、みんな途方もなく皆良かった

弟と獄中結婚する死刑反対団体の女性役の安藤聖さんも、本当に苛立ちを誘う善良さで、生真面目な善良さと彼と結婚に至るまともでなさと、ただの女の弱さとが入り混じって、凄くいい複雑さだった
あの人が弟に語った、暑い閉め切ったアパートでの彼氏とのセックスの話は、本当に額に汗が滲んでくるような、そういう語り口で、いいなぁ…ってしみじみ思った
それまで、彼女が口にしていた綺麗事が消え果て、女の、女でしかない、生身の言葉が、凄くよかった

介護士役の滝沢恵さんも良かった
無神経な優しさが、凄くほっとさせてくれた
スナックの、何があっても笑って事態を受け入れる店員(黒田大輔さん)も、父親のいとこである明らかにカタギじゃない男の人(野中貴光さん)も(新井さんの手に無造作に煙草押し付けるくだりに、また、興奮しました)、弟に自分の息子を殺された被害者遺族の男性(児玉貴志さん)も

本当に良かった

遺族の男性は裁判で「エリート候補を殺してやりたかった。 絶対にあやまらねぇから」と悪態をつく弟を見て震えていて、でも、どう恨みを晴らせばいいのかも分からなくなって、だから、弟の父親をスナックに殺しに行くんです
二都の、トヨと一緒ですね

でも、人はトヨのように強くないから
トヨのように貫けないから

彼がマスターに語る息子の話が、どうしようもなく可愛くってね
愛しい、愛しいって、子供って、親にとってこんなに愛しいのかって思い知らせるようなお話でね
私は、その話を聞いて、そういう子供を小学校に送り出して、ねぇ
突然、帰ってこないんです
突然、いなくなるんです
突然、ロクでもないクズに殺されるんです
一度も謝罪せずに、ガソリンを抱えて火をつければ、もっと殺せたのに…って悔いているんです
怖かったろう
痛かったろうって思うんです

想像するだけで、激痛

分かんないけど、続けて観たせいだろうけど、レミングを見た後に考えていた、世界の涯てって、こういう世界なのかもしれないとも思いました
多分、絶望は涯てでしょう
何処にもいけない壁が目の前にあるでしょう
叩いても、叩いても壊れない壁なのでしょう

子供を殺されるんです
私には子供がいないけれど、それでも、それは類を見ない程の悲劇だって事は分かる

あの男の人は、涯てまで漂流して、それでも、あの弟の父親を殺せなかった
そういうのが人間なんだって思えた

あの時の赤堀さんも凄まじかった、声を張り上げて、口上のように、まるで宣言のように、世間に対するように詫びるのである
痺れた
私、痺れっぱなし

トドメにもう1人の客演である、母親役の砂羽さんはね、本当に綺麗で、「いいなぁ」って男の人が「いいなぁ」って思う女の人って、こういう人だろうって思う綺麗な人で、その人が見せた芝居も凄絶でよかった
弟と別れるっていう、彼に散々DVをふるわれたお嫁さんに、とんでもない理屈で翻意を促す所の狂気な声音とか、疲れきった佇まいとか、音楽に合わせて気怠けに踊る姿も、やっぱり「いいなぁ」って思えて、やぁ、いい芝居を観させていただきやした

何にせよ、千秋楽ってんで、新井さんてば「最初で最後のお芝居です」とか言ってくれちゃってた訳ですが、どんどん舞台でなさいよと思ってみたり
スズナリだと、もう、本当に大変な事になってしまうので、今度は本多辺りで、まぁ、こういう時は…のポツドールか、結婚おめでとう!な劇団・本谷有希子とか合うと思うんですけど、どないでっしゃろ?
一回観に行った本谷では松永・レイチェルが、顔面を夫に壁とかに叩きつつけられ続けるというシーンがあるのですが、そういう派手めな暴力を、是非、また奮って欲しいものよ…と、新井さんに望む方向性が私は一定すぎている事にも気付きつつ、期待してみたいと思います
何にせよ、素晴らしかったので、ええ、もう、すんばらしかったので、また、舞台で見たいです
エッジの効いた芝居を生で観て、興奮で喉をカラカラにさせて欲しいです
「あいつの暴力は違うんだ」っていう台詞があるんですけど、本当に納得したもんなぁ
あの人の風情は、暴力が似合いすぎる
声も、佇まいも、ほんと暴力
「俺はぁ! 他の奴らと違うからっ! お前らとは、全然違うからっ!」って卑屈に、家族を指差して叫ぶ姿に、心底思ったもの
「そうだ、違うぞ」って
お前は、とんでもないクズだぞって
特別性とかいう意味ではなくて、とにかく凄いクズだぞって

夜の侍で、散々に追い詰められて、夜の山に殺されて棄てられちゃいそうになる役演ってんだけど、「いつだ? いつ、えげつない暴力をふるうんだ?」ってわくわくしながら待ち続けちゃったもの
絶対に、山田孝之の顔がぼこぼこになるまで殴り倒した挙句ブリーフ姿で土下座させた所に、金属バットで後頭部に一撃位の暴力が待ち受けてると思ったもの

うっかり、「ゴーイング マイ ホーム」の新井さんにまで「阿部(寛)ちゃん相手にカツアゲとなると、戦闘力的には向こうのが上っぽいから作戦が必要だよね! いけ! 暴力!」とか期待してたのに、全然だったから、そういう不満もすっきり解消できて、本当に大満足な新井さんでした

ここまで書いて、一応ですけど映画の「ゆれる」とかで見せた、ただひたすらに優しい、そういう新井さんも好きですよ…と俯きながら、フォローは入れておきます

最後に、THE SHAMPOO HATは、初観劇の印象としては演出がビッとしてて、「悲惨すぎて無残」と「滑稽面白い」の加減をきちんと弁えた脚本でもあって、初観劇印象としては芝居として大変好きでしたが、同時に、ぶつ切りみたいにして多く差し挟まれる暗転や、だらだらとした会話が主なので、シーンによっては、どうにもダレっちまうところがあったとこ等、気になるところもありました
ただ、それを補って余りある救いのなさと、重たさ
それでも、妙に家族愛というか、「家族」という小さな共同体の脆さと、頑丈さが説得力ありすぎて、圧倒されたまま芝居が終わって、圧倒されたまま私はスズナリを後にしたのです

面白かった
観てよかった
心から、そう思います

あ、あと、余談ですが、この芝居連日、そうだったみたいだけど、あの狭い小屋に、テレビや舞台でお見かけするような役者さんが結構いらっしゃってて、千秋楽は小屋前で普通に高橋努君とか、柄本兄弟のどっちか(いい加減)(おでの安藤サクラを結婚してた方だったら、多分恨みがましい視線で眺めてしまったと思うので、どっちか分からなくてよかったといえばよかった)とか雑談してて、「おお、楽しい」とミーハー心をくすぐる状況になっておりました

あ、サイレントフェスタ・ドラム担当のみのすけさんも来ておったよー
前日まで芝居ってたのに、お元気!とか思いつつ、まぁ、公演丸被りだし今日くらいしか来れんよなぁとかって納得
あと、生田の斗真さんやら、色々おったっぽい
各方面ご挨拶祭りが、客席で展開されておった

んで、貴重な当日券席ゲットできた幸運な面々がパイプ椅子抱えて開演五分前位に入ってきた訳ですが、なんか、見たことある金髪の柔和な表情の派手目な男前が階段登ってくんなぁ…と思ったら、私が「天才」と呼んで憚らない、マッチャーでした(白目)
私階段脇の席やったんですけど、嫌な予感覚えたら、ばっつり私の隣に座るでやんの

うん、やだ
割と本気でいやだ

だって、超好きな演出家となりの席とか、精神的に酷いぜ?
芝居中反応窺わないでいられたら、その精神力で七つの海を渡れるぜ?(意味不明)
一番良いのは斜め一つ前な!
好き勝手観察できるから!(ストーカー気質が露に)

お陰さまで、開演前から、虚ろに天井を見つめつつも、時々横目でチラッと見ては「おいおい、超オシャンティでやんの。 なんだ、その帽子。 あと、シャツとか。 それに、全然禿げそうな気配もねぇのな。 髪の毛、見るからに猫っ毛やのにな。 流石やな」とか、「つか、当日券の列には当然並んでなかったけん、日本一忙しい演出家であるからこその色んな裏技駆使したんやね! 映画界では三池、ファンシー界ではキティ姐さん、演劇界では河原と並び称される位、仕事選ばないだけあるわー!」とか「つか、次いつ、粟根さん芝居に呼んでくれるんっすか? 個人的に、テキサスみたいなんで観てみたいんですけど、どうなんっすか? たつかつみたいなのとかも、また見たいんですけど、どうなんっすか?!」と、心の中で話しかけ続け、何だったら「届け、電波!」とばかりに隣の人に祈り、「あ、そうだ。 とりあえず、記念に…」と、マッチャー舐めのみのすけさんとか視界に収めてみて「案外ありそで、なさそな組み合わせ! マッチャー演出のみのすけさんとかも素敵っぽいわよねー」とか個人的な欲望を満たし、縦横無尽にひそかに愉しんだ挙句、散々「やっぱ、暴力シーンになると身を乗り出すのね、この人」とか観劇中も隣の気配に敏感になりながら、結局観劇後、当日券の方は一足先に劇場の退出を促されるのですが、パイプ椅子を畳んでいるマッチャーに小声で「あの、すいません」とお声を掛け「はぁい?」とふにゃふにゃの声で聞き返してきたマッチャーに、これまでの色々な思いを全部詰め込んで、万感の声で「八犬伝、大変楽しかったです」とだけお伝えしておきました
「わはは! ありがとうございますぅ」とやっぱりふにゃふにゃの声でお礼を言って立ち去る背中を眺めつつ「さっきの言葉の中には、また、粟根さんをお芝居に呼んで下さいね!の願いを込めたので、お礼を言った以上、頼んだぜよ!」と理不尽な感慨に浸る私がいたのでした

うん、頼んだぜよ!!!


ハートブレイカーズ 「サイレントフェスタ」

超閲覧注意物件参ります

つまり、私史上でも類を見ない程辛いです
私の中の突っ込み魂が全力で炸裂、震えるほどヒート!して、バーニンもしてます
裏拳突っ込み連打すぎて、私が卓球の選手なら、もうラケットを握れない…!ってなってるレベルです
うん、例えがあんまりすぎて伝わらないであろう事も自覚してます

あの舞台に感動した!って方
心底楽しかった、その思い出を汚したくないって方
あの舞台を貶さないで欲しい!って方

私の、以下の感想文は旦那の携帯よりも覗いてはならない領域です
百害あって一理なしです

さぁ、引き返して! 今すぐ引き返して!

私は、別段、あの芝居を愉しんだ人をdisりたい訳ではないのですが、個人の嗜好に基づく好悪の念は、本人の人格に密接したものであり、好きな芝居を貶す感想を己の人格を否定されているかの如き感覚に陥る人の気持ちが分からないでもないので、もう一度言います

あの芝居が大好きで、それに突っ込みをいれたり、貶したり、嘲るが如き論調の文章を読んで、不快な気持ちを覚えるであろう人は、どうぞ、読まないで下さい

私が、以下で非難しているのは、あの芝居であって、貴方ではないから
貴方が読むべき文章は、この先にはありません

ここまで書いたよー
ここまで書いて読む人の事は、もう、私は知らないよー


はい、じゃあ、どうしよう
まず、褒めたいとこから書きます
ワンクッションおきます


これは、皆さん共通の見解でしょうが、ハートブレイカーズさんの常箱だけあって、ライブハウスの使い方を熟知したかのような演出には感心しました

あ、そこに役者を置くかとか、そういう風に場面を変えるのか…とか、最初ステージを目にしたときには、随分小さくて、楽器がスペースを大きくとっていたので、芝居をどう行うつもりか疑問に思ったのですが、そういう不自然さはなく「ライブハウス」で演じられるべき芝居になっていたと思います

あと、役者さん達が芸達者である事はちゃんと分かりました
百戦錬磨の連中と、若い元気な子らと色々揃えていて、それぞれのファンにとって、楽しい思いができるよう見せ場も配分されている、目配せの効いた芝居だったと思います

笑いも、とても楽しかった
私は前置き、あんなんですが、随分と笑わせて貰いました
アドリブ含めて、「笑い」という意味では楽しい芝居だったと思います
特に、スタジオライフの曽世さんは、身体的表現込みで、本当に全部を攫っていくような面白さで、突飛なキャラクターの勝利もありましょうが、出番の割には強烈な印象を残す好演だったと思います

演奏だって、聞かせるレベルに達していたし、芝居として「お粗末」なものを見せられたとは思ってない
私が最も重要視するCPの悪い芝居だったとも思いません

私は、四回観ました
千秋楽は、最後にアンコールライブをやってくれて、最前列の席を確保していた私は、目の前に粟根さんが来てくれて、指弾きのベース演奏を見せてくれる席で、とても興奮したし、熱狂したし、勿論、このmomiziたるもの、ここでヌかりはあってはならぬと、首藤さんに煽られ立ち上がった瞬間、うん、腿を攣った

腿を  攣った


ウオオオオオウオウオウオウオウ!!!!!(モー娘、LOVEマシーンばりのリズムで)


な ん ぞ?!

なんで、よりにもよってこのタイミングぞ?! 私の腿よ!!
もっと、あるやん?
攣るタイミング、あるやん?(あるの?)

今やのうてもって痛ぇえええええええ!!(従来であれば転げまわりたい程に)
痛いけど、かっこいいけど、いてえええええええええええええ!!!

粟根さんが目の前まで来て、ベースを弾いているのに、腿が痛すぎて、全身が痙攣している私とか、とんだ前衛だよ!
アングラだよ! レミングだよ!(ここにきての寺山修司引用)
あんな、自慢するけど、超格好良かった
Wベースとか、卑怯と思った
最後出てきて、「コレ(ジャック)差していい?」って確認してる姿に心臓が爆発しそうになって、演奏始まって「あ、これはもう、ダメだ。 カラータイマーが赤く点滅しまくってる」って紅天狗の先生状態になって、実際は腿が爆発した(白目)
私の腿が限界を迎えた(頭を抱えながら)

結果、体を前後左右に揺する事により痛みを誤魔化そうとしている行動が、二階席から観ていたお知り合いの方曰く「いい感じにノってる人に見えたよ?」と言って頂けて、周囲の人及び、演者に不快感を与える結果に繋がらなくてよかったと一安心

まぁ、顔はね!
凄絶に歪んでたからね!
そういう意味では鬼の形相で、体を揺する女(手拍子で)というホラー物件に成り下がった私が最前列という事態は、演者的にどうなんだろ?とも思うけろ、目の前の粟根さん、眼鏡ナシだったし、顔とか見てねぇ、見てねぇ!と楽天的になる事にしたいと思います


うん、ここで、感想終わりたい!!!


まぁ、とはいえ、書きたいから書いてる私がいるので、そろそろ本題に突入しやす


あの、更にの前置きで、くどくて申し訳ないんですけど、この世に絶対ってないじゃないですか?
絶対と言えるものは、数式の中にしか存在しないじゃないですか?

つまり、等しい価値観ってのもありえないんですよね
個人の主観と、相対のみでしか物事の価値は計れず、当然統一化なんて為しえる筈もない
一致団結なんてのは、幻想だと思うんです
小さなコミュニティにおいても、集合体が等しい価値観と等しい希望をもって、等しい夢に向かって突き進むなんて事は有り得ないですよ

一億総火の玉!とか、戦後復興の折とか、高度経済成長の時とか、学生共闘の運動が盛んな時期だって、等しい価値観を皆が有していたとは思わない

それぞれの思惑と、それぞれの大事なもの、それぞれの優先順位があって当然なんです
今の日本においては、震災という未曾有の危機に瀕し、復興という総国民共通の目標を得ているように思えますが、それでも、被災者とそうでない人には切実さや、温度に差異があり、、ボランティアに参加する人、募金をする人、日々の生活に追われ、忘れかけてしまいそうになる人、やっぱりそれはそれぞれで、それはある意味健全な事なのでしょう(その事に忸怩たる思いを抱く人がいる事も、勿論、当然だと思っています)

何が言いたいんだと思います?

これは私なりのスケールの大きい言い訳です
大意の中に小意を含ませて、色々有耶無耶にしたい私の目論見です

スターパインズカフェの二階で、人目につきにくいサイド席で私は、呆然と舞台を、そして客席を見下ろしていました

あすこは私の泳げない海だ
足の届かない海だ
体が沈む海だ
漂流しても寄る辺のない海だ

その位の孤独感

音に合わせて手拍子をする人々
伝わってくる熱気
笑い声や、愉しげな空気
感動のすすり泣き

あの海を私は渡れない

私が肌で感じていたものは、私が理解できない熱狂の中に1人佇んでいるという現実がもたらす刺すような孤独でした

これまで、どんな劇場でも感じた事のない類のものだった

何が言いたいんだと思います?
今度は、私なりに詩的に言い訳してみたのです
ポエミックな言葉で、私の悪辣さに気付かれまいとする私の策です

端的に言えば、もうね、超絶大嫌いな類の芝居でしたーーー❤(両手を前に突き出す、懐かしのeggポーズで、さらにムカムカを誘いながら)


いやー、ないわー
ないわーっていうか、覚悟できてなかったわー
ああいうメンツで、ああいう場所で、あんな感じの、イケメン系芝居(偏見に基づく私の分類。 所謂深みがなくて、想像力のない、役者をいかに格好良く魅力的に見せるかだけに努力が費やされている芝居を指す)見せられるとか、マジ一言欲しいっつうの!
今回は、イケメン君と、普段はイケメン扱いされてない中堅役者もイケメンぶって芝居する、そういうラインの物語になってます!って教えて欲しいっつうの!

うん、毒舌とか私、言うつもりないっす
これ、悪口ですね、すいませんね

あのさぁ、最初に言っていいっすか?
最初に突っ込んでいいっすか?

ねぇ なんで 長男働かないの?

野暮なのかな?
この突っ込みは野暮なのかな?

家族が、障害を負って、これからの人生を生きていくのが、困難になって、そういう人を、大事な人を支えるのに、とりあえず必要なのって、お金じゃないのかな?
何があっても「大丈夫、お前の生活は俺が支えるから、ちっと休め」って言ってあげられる力ってお金じゃないのかな?

綺麗事の世界では、お金って汚いものなのかな?
頑張って働いて、家族の生活を支えるって綺麗事には含まれないのかな?
働くって唾棄すべき野暮な所業なのかな?
コンビニのバイトを馬鹿にしてるわけじゃなくて、つか、実際近所のファミマの人と私は凄く仲良しで、だから、そこに強盗でも入ろうものなら、心底心配して犯人を憎悪するね!と思う位仲良しで、そういう意味で差別はしてないけど、あの長男が、あの歳でコンビニバイトしてんのって、当然バンドの練習のためで、そういう融通を利かせる為って事だろうから、それは、弟が耳が聞こえなくなかろうと、全ての経済的重荷を次男に背負わせようとも、それでもバンドの為にフリーターを続けるという選択をしたのであるのならば、むしろ、そこまで人生をかけている事だし、がむしゃらにもっと、売れるために、売れて稼いで、弟達の生活を支えるとかって言うべきじゃないのかな?


うん、あの人「弟の耳が聞こえなくなったら、やる意味ない」とかゆってたよねー(呆然)


え?

じゃ、バンド辞めて、普通に働けば?

あ、それはダメなの?
そういう選択肢はないの?
舞台的にもまずいの?
働きながらは、バンドって出来ないの?
私の職場での席の隣で働いている方の息子さん、居酒屋経営してるけど、バンドのギター担当してるよ?

えー

じゃあ、何がしたいのー

えー

何の責任も負わないで、なんの支えにもならないで、なんも失わないで、なにも犠牲にしないで、あの人、何を守ってるのー?
何が大事なのー?
弟が難病っても、あの人何も変わらないの?
あの人が何も変わらない事を、周囲の人間も奨励してんの?

なんだ、それ

なんだ、その世界観

私は、びっくりしちゃって
初回、演奏してる最中、手拍子の音が響く中でも、両手はだらり両脇に下げられたままで、なんだそれって、ずっと思ってた

懸命に生きてない人の音楽で感動しろってのは、土台無理な話ぜよ

私が頼んだドリンクの、カンパリオレンジは、氷が全部溶けきって、グラスはびちょびちょに濡れてて、それでも、こんな不味い酒飲めるかって、私は半分以上残す事になった

その日以来、ワンオーダーするドリンクで私は酒を頼んでいない

言うじゃん?
長男が
言うじゃん?
次男に

「俺に出来る事は何か教えてくれよ!」って

光の速さで思ったね

あの人が弟のために出来る最前の事は「働く事」だって

「働けよ!!!」って心の中で絶叫したね

仕事しろー
弟を支えるために仕事しろー
経済的負担を次男に負わせている分際で偉そうな事は何もいえないからなー
弟がどんな選択をするにせよ、金が要るんだぞー

だから、仕事しろー
弟の為に、働けよー

そういうの、当然だと思ってて、そういうお話だと思ってた

つまり、今までフリーターを続けてきた長男が、末弟が難聴になるという事態に瀕し、働かねばならないと決意する際において、バンド活動との両立に悩む話なんだと思ってた

しwwたwwらwwwww全然予想外www
あの人、働き出すのはいつ? 今でしょ!(流行語をすかさずドヤ顔で使ってみる)という事態なのにwww周囲も次男も、そういう事何も言わないのwww優しいwww超優しいwww優しいwwwって


んな訳あるかあああああああああいい!!!

だ、だ、誰か言ってやれ!
是非いってやれ!!

「いや、こんな事してる場合じゃなくて、仕事探せよ」って誰か1人位は言ってやれ!

それ、優しさじゃないから!
全然違うから!

私、ほんと、今回なんで、あの眼鏡の人呼ばれたか分からなくて、「え? 要る? なんで? ベース、巧い子いるし、みのすけさんとかおるし、要る?」ってずっと思ってて、したら、あすこですよ

あの説教シーンですよ

「甘えんなよバーカ」と言った瞬間、私は気付きました


そうか このためか…!と

実際にバンドを辞め、働き出した男
彼だからこそ、彼にしか言えない言葉があるんです
同年代の、バンドメンバーとは道を違え、経営者の立場になっている矢沢だからこそいえる言葉があるんです

私は震えた

この人が示すのかと
この人が、指差して、彼に言ってあげるのかと…

そう、働け…と……

そう待ち構える私の耳に届いた、言葉の数々

私は震えたね

別の意味で震えたね

吉祥寺の真ん中で 心から突っ込んだね


そっちかあああああああいいいいいいいい!!!!


と…

なんだったら、もう、手が動いてた
突っ込みの形になってた
口も微かに動いてた
その位びっくりした
ほんとびっくりした

んで、思った


えーーーと、ねぇ、あの人、必要ある????

いや、だって、あれ、みのすけさんでええやん
あの役みのすけさんでええやん
あのおじさん、あすこでドヤ顔で、なんか、あんな説教してたけど、あれ、別にあの人やのうてええやん
え、なんで?
つか、1人おじさん減らして、女の子だそうぜ
兄弟の誰かの彼女出そうぜ?

気持ち悪いねん
べたべたして
男ばっかで
偏りが凄いねん
分かるだろ? こういう世界の良さ…みたいな空気、ゾッとすんねん

イケメン芝居と一緒な
とりあえず、男同士べたべたさせときゃ、こっちが悦ぶってか!
abbyeとか、ABCは、そういうの観るって覚悟決めてったから、ええねんけど、そういうテイストって全然知らんだけん、べっくりしたわ

冒頭で言うたけど、皆が同じ価値観で、皆が何も疑わず、皆が一緒の方向向いてるの気持ち悪いんよ
それぞれが、それぞれの価値観を抱けよ
それが、キャラ分けってもんやろ?

みんな、一緒
あすこに出てる連中、みんな一緒

女だったら、あの世界に、何の違和感も覚えず同じ流れに身を投じる事はないと思う

つか、あのオーナーの話に戻るけど、あの人なんか、バンド抜けた立場だから言えることがあるんだよ!とか言うてなかった?

うん、ほんと、すいません
申し訳ない
わたす、馬鹿なんです
想像力が貧困なんです

申し訳ない、申し訳ない
謝ればいいって思ってる訳ではないのですが、それでも謝るよ

私が性格悪くて、馬鹿で、理解力が低くて申し訳ないのですが

あれ どういう意味?

え? 分かんないっつうか、びっくりした
「何言ってるの? この人?」って、素でびっくりした
ちょっと、三度見位してた
四回観劇して、一度も意味が分からなかった
完全に不条理の世界に至ってしまってた
またも、寺山修司登場だった

あの言葉の意味って何?
フィーリング?
勢い?
格好良さ?

うん、噛み砕くね?

「バンドに関係のない立場だから言えること」=「無責任な人だから言えること」って事?

違う?

「バンドに関係のない立場だから言えること」=「客観的な立場だから言えること」って意味なのかしら?

他に何かあるなら、ごめんなさい
でも、客観的な言葉だったかしら、あれ?

えーと、なんか、弟の前で何回演奏した?って責めてたよね
んで、救おうとしてないのに、救えないっていうなって言ってたよね?

うん、私はそこで「救おうとすることは稼ごうとする事だ」って思ってたけど、そういう展開じゃなかったよね
信じ難いことに

つまり、音楽やめんなつってたよね

えー?
えーー?

耳聞こえない人に、音楽聞かせようとすることが救おうとする事だなんて、私はよく分からない理屈だけど、あの時長男は初めて、バンド活動をやめようとした訳でしょ?
バンド辞めて、まさか、自宅警備員に、俺はなる!!とか、そんなドクズ野郎とか、私も思ってないので、多分、あの人、やっとバンド辞めて働こうとしてたわけじゃない?

え? 止めるの?
音楽続けさせるの?

あの後の事は分かんないから、どうか知らないけど、もしかしたら、働き出すのかもしれないけど、舞台中で表現されてないから分かんないよね

えー、つまりー、あの、オーナーはー、あの長男を自分の店で雇う覚悟をしたってぇ訳だ

だしょ?
あの長男の人生を自分の言葉で変えたんでしょ?

大人だもの
自分の発言に責任は持つでしょう
あの兄弟の面倒を見るって事でしょう
稼ごうとした人の道を阻んだのだから、それは当然でしょう

酔って、適当ぶっこける場面とそうでない場面がありますからね
てめぇの言葉の責任はてめぇで取るつもりなんでしょう

ねぇ(半笑い)
すげぇ、想像力のねぇ、芝居なwww

格好いい言葉の羅列だけなwww

ごめんなww酔えなくてww
酔えない女で、ほんと、ごめんな


私、芝居終わった後、ごく一部の友人に、ふっと魂を吐き出す声で言ってしまってたからね

「虫唾が走る」って


すごくね?
北斗の拳とかで、「うぬう!」とか唸りそうな長髪の筋肉隆々の男が言いそうな台詞じゃね?
ちなみに、シレラギでは「洒落臭い」って言ったからね!
「僕に炎の戦車を」では、「胸糞悪い」つったし、そろそろ、私、Aカップのぺちゃぱいが筋肉質に膨らんできちゃうかもね☆

そもそも、私、あの兄弟、ほんっとおおおおおに大嫌いなんっすけどね

あの思いやりのなさは凄いな
周囲への配慮のなさとかな!
一回も謝ってないもんね!
迷惑かけた相手にも、酷い言葉を投げた相手にも、誰にも、一度も

なんだろ? そういうルールなのかな?

障害を負って、傷ついた子には無条件に優しくしないといけないルールなのかな?
そういう子を抱えた家族のために、周囲の人間は絶対に懸命になるっていう、そういうルールなのかな?
誰か言わないのかな?

「知らねぇよ」って
「お前の弟の事なんか知ったこっちゃねぇから、バンドの事どうしてくのか、真剣に考えろよ」って
「やる気ねぇならやめろ」って

其れを誰も言わないんだもの
そりゃ、売れないわー
売れないのに、フリーターでバンド活動続けてきたって、ただのモラトリアム期間を終わらせたくない、ピーターパン症候群丸出しだわー
40だろ?
終わろうよー
大人になろうよー

せめて、ヤンジャン読もうよー!

傍若無人で、周囲に配慮のない、迷惑かけても全部「ウフフ! オッケー!」で許される兄弟と、そうやって許してきた周囲のナめ腐った物語に、どうやって浸ればいいのか、私見えなかったものー

ワンマンにこだわってんのとかさ、対バンじゃダメなの?
あのオーナー、経営始めて二ヶ月だしょ?
今、一番必死にならなきゃダメな時じゃないの?
そんなナめた経営が出来る立場なら、なんで、バンドやめたの?(致命的)
そんで、そんだけナめた経営してても、バンド辞めちゃうベースがいるのに、家族が難聴になったあの長男はやめないの?
歌巧くないのに
つか、これは、知らないので、間違ってたらごめんだけど、Vo.だったら、練習とか融通きかね?
働きながらでも、充分やれね?(まだ言う)

私、嫌いなんですけどね
あの、「貴方が死にたいとか思ってる今日は、誰かが、生きたいと思っても生きられなかった今日だ」系の考え方超傲慢で嫌いなんですけどね?
恵まれた機会を得た人間が、手に出来なかった人間に遠慮する思考、大嫌いなんですけどね?

でも、言おう

ワンマンやりたくて、必死に金溜めて、頑張ってるバンド大勢あんぜ?
地道な練習と、バイトの繰り返しで、対バンで少しずつ客集めて、そんで漸くワンマンだ
泣ける位、貴重な機会だ
大事な機会だ

ワンマンをやりたくてもやれない人に、遠慮する事はない
でも、機会を粗末にしていい理由にもならない

自分で演りたいつっといて、練習にも身を入れず、うだうだと、やるのやらねぇの、なんだのと
お前の弟の事なんか 知るか

肝心のライブでも演奏止めて、オーナーが必死に集めた幾許かの金払っているであろう客無視して、弟の為だけに演奏して、歌って、世界はお前たちだけのものか!!!
お前たちのために周囲の人間は存在しているのか!!
せめて、客入れずに、弟だけにライブ前に聞かせるとか、そういうのじゃダメか?
芝居的に、ダメな理由ってなんなのか?
私は、自分がないがしろにされているさまに、どうやって感動すれば良いのか見えなかったぞ?

なぁ、あの兄弟の、あの傲慢さは、一体なんだ?

誰かをないがしろにしないと示せない優しさは、優しいって言えるのか?

本当の歌なら届くっていう

本当の歌だから、あの時弟に届いたって事にしたいのだろう


私の思う本当の歌とは違う

私の思う本当の歌は、もっと懸命なものだ
もっと、魂のこもったものだ
何かを棄て、何かを失くし、何かを犠牲にしても歌いたいという覚悟があるものだ

長男が、本当の歌を歌うためには、弟を棄てるべきだと思う

売れるという野望が、汚らしいあの世界では無理な話だけど
金を稼ぐという事は、世間体は、大人になるという事は、つまらない事ならしいあの世界では望むべくもない事だけど

働かないのなら売れたいって言え
せめて、言え

売れたくもない
弟だけ聞いてればいい
働く気もない

客なんかどうでもいい


そんな男が歌う歌が、本当の音楽ってぇなら、私には一生縁がないものなのだろう
届かなくて結構だ

ひゃー!
悪し様に言い切ったものだと、自分にびっくりしつつ、私には相容れなさすぎる世界であったと、自覚はしてます


まず、音楽聞かないから、音楽の力信じてないんでふよね
NOミュージックで余裕で生きてけるっつうの

あと、本の扱い方も随分粗末だし、末っ子は全く本には救われなかったようだし、あれ、石田衣良だの有川浩だのじゃなくて、真梨幸子とか、平山夢明とか読んでたら、もうちょっと違う世界開けてたんじゃないかすら?とか思ってみました
ほら、とりあえず鬱憤晴らすために、兄を撲殺してみるとかさ!(一気にSHAMPOO HATの世界へ突入)
まぁ、ああいう事態において、文字なんか、全く役に立たねぇよ!って事ですな! まぁ、それには同意だけど

そいから、なんか、余りにステロタイプな書き方が嫌いだったんっすよねー
バンドマンはフリーターである「べき」だし、障害者に世間は優しくある「べき」だし、ロックは世間体を気にしない「べき」だし、全部パブリックイメージで出来た世界
考察も何もないの
「そういうもんでしょ?」みたいなね
分かるか! つうか、納得するか! ディトレーダーやってるバンドマンもおるわ!!
こういうバンドは、あれだな…
きっと、他の展開として考えられるのは、誰かメンバーが売れてるバンドに引き抜きにあっても「俺のやりてぇ音楽は、マイナーズの音楽なんだよ!」とかいって断ったり、プロでビューの条件として、アイドルのバックバンドを務める事って条件提示されて、一度は了承して、長男以外全員アイドルバンドのメンバーになる事になっちゃうんだけど、肝心のテレビ収録の日「俺たちがやりたかった音楽って、本当にこういうのなのか?」とか「あいつの歌が俺たちには必要なんだ!」とかいって、ドタキャンした挙句、バンドメンバーがいないままにライブをやろうとして客の前で立ち尽くす長男の元に颯爽と「待たせたな!」と登場した挙句、涙ぐんだ長男が「遅刻だ、この野郎!」って怒鳴ったり、そういう事をやっちゃうんでしょ?

うん、書いてて、また虫唾が駆け巡ったわ…

そんなんは、いにおに任せとけっつうか、いにおだって、まさか、40歳の中年達を主人公にしてはやらんわ

私がどっちかっていうと、容赦のない話が好きだから、こんなに嫌いなの?と思ってみるものの、それだったら、「シレラギ」とかも、もうちょっと好きよな…と思いかけて、「いや、あれはねぇな…」と冷静に呟けるのですが、何にせよ、私野暮なんだろうなぁって自覚も出来てます
ハートブレイカーズ初めてだし、ほさかさんの脚本も初めてだし、「細けぇ事は良いから、格好いい台詞がいっぱいあるのが正義なんだよ!」っていう芝居である事が前提のものだったのかな?と考えてみたり
まぁ、そもそも、おじさん達が入れ替わり立ち替わり、若者相手とかに、「いいこと」っぽい台詞を言って「かっこいい!」って言われて得意げになってる姿を見せられても、心から「あー、気持ち悪いなー」とかしか思えない人間なので、つか、40代でフリーターでバンドは売れないって自覚してるのに、それぞれ覚悟をつけられてない大人の言う事に感銘をうける感性をしてないので、完全に私には伝わらない芝居だったんだなぁと思いました

つうか、もっと野暮を承知な事を言うなら、末っ子の難聴は「突発性難聴」じゃないですか?
それも、ライブハウスでの発症を診るに「音響外傷性難聴」の可能性が高いと思うんですよ
しかも、両側での発生って極めて稀なケースなんですってね!
原因不明の難病とされてますけど、要因の一つに「ストレス」が挙げられています

うんうんうんうん…

えーと、発症原因って、あの兄二人じゃねいの?

片や、明らかに、弟に勉強とかをきちんとさせ、期待をかけ、難関大学への入学をさせた次男と、ちゃらんぽらんで世間的に後ろ指を指されようとも気にせず好き勝手生きてるけど、超ブラコンっぽい長男

うん、あの二人じゃねいの?
そんな二人に挟まれるストレス、すごくねいの?

まぁ、難聴になった悲痛さとかは、正直、アビーの佐藤さんの方がずっと痛切だったし、あの片耳を押さえて顔を歪めてうずくまる姿に、心臓がぎゅっとした私としては、深刻に見る事も出来ず、深刻にしない世界観でもあったので、深刻に考えるのはやめときます


つか、あれだよねー
えんぶでも、「ファンタジー」とかいうてたしね
きっと、具体的に書かれてなかったけど、魔法とか、妖精とか、アレな力で、アレして、コレして、深く考えたりしなくても、あの兄弟は幸せに生きていくのでした!という話だったのだろうから、こんなに突っ込みいれてる私が一番滑稽っつう話だな!

めんご! めんご!!

まぁ、他にも幾らでも、死ぬほど、行数を費やせるほどに、あの芝居につっこみいれられるのですが、もう、これ以上書いても詮無いので、ここで、終了!

どうぞ、私の事を、性格の悪い、捻くれた、人間的に悪辣な女と思ってくれたらよかろうよ!

言っておくけど、これ書きながらちゃんと、謎の罪悪感も覚えてるからな!
萩野さんの復帰公演とかで、「みんな頑張ってたのに!」とか「あんなに感動の千秋楽だったのに、観てた人でしょ? 酷い!」とか自分に言ってるからな!

ちきしょう! 見終わった後、楽しめなかった事に対して、罪悪感を覚えなきゃならん芝居なんて大嫌いだー!
こんな風な気持ちにさせないように、こんな無神経な芝居作ってんじゃねぇよ!

悪辣ついでに言ってやらぁ!

あの説教しながら、矢沢の役の人ってば泣いていらして、芝居の上でとはいえど、私はっきり視認出来た、あの人の泣きの演技は、あれが初めてで、大層がっかりしました

あすこで泣くなら、大王の芝居で泣いてやれよ
あすこで泣くなら、僕愛の哲郎で泣けよ
あすこで泣くなら、クラウドで泣けよ
(泣いてる日があったなら、申し訳ないけど)

いや、いいんすけどね
でも、私は随分がっかりした
脱力するほどに、がっかりした

いやぁ、ほんと、私、悪辣だわ
知ってるから、言わないでいいよ

見終わった後、お茶する機会があって、凄く楽しかったけれど、愉しんだ人たちに、正直な事はいえなくて「嘘ついてないけど、正直には言わない」を貫こうとする余り「矢沢さんの服の色が、アマゾンの珍しい虫の色みたいだったね」とかしか言ってなくて、色々ダメでした…orz

ほんと、こんなに嫌なのに、四回も観るとか、ばかじゃね?って自分に言うんですけど、申し訳ない
ベース弾いてるとこが超格好良いので、それが観たいがために通いました
申し訳ない
私は唾棄すべき、馬鹿女です

んで、最後にも書くけど、ここまで読んだ以上、私が悪辣な事を書いているだろう事を知った上で、読んでいましょうが「二都〜」と同様、感想なんざ人それぞれなんですから
私の感性は、価値観は、嗜好は私だけのものですから

私と、貴方は違う人なのですから

そして、高いお金を払って観た芝居、感激して、熱狂して、愉しめた人間が一等得をしているのですから
私は少し損をした人間なんだと思っていただいて、この芝居を心底愉しんだ人が不快を覚えたら、私を哀れんでくれれば結構です

可哀想な人だと思ってくれるだけで、どうか勘弁してください




そんなわけで、十番勝負、これにて終了!!!!

お付き合いいただき、ありがとうございました!


次は、「ハイバイ」の「て」を観る予定です!