サマフェス

そういえば、うちのギャラリー更新したんですよ。
メタルマクベスと、アオ髑髏。
妹が描いて、ええ、吉原の時もそうだし、色々、あの、そうなのでうが、あの子は芝居を見た後、一気に、わーって描いて、ていと、並べてで、「じゃあ、オネエ、一つよろしく!」と言う。
何をよろしくして欲しいのかといえば、コメントを入れとくれ!という事なんですね。

こーれーがーねーー、しんどい!

もう、言葉が尽きる!

褒めるに褒めれない立場だし(姉、だからね)どういう言葉を入れればいいのか、ネタに走るにも枚数が多すぎて、途中で「飽きたー」と文句を言う時も暫し。
あのですね、どんだけ巧い絵でもですね、きちんと褒め言葉以外のコメントをつけようとして、何枚も、何枚も見ていくと、こう、ものっそい脱力感と倦怠感が襲ってくるのですよ!

しかも、妹の絵は、結構、「感覚的」なものも多くて、これに私が何を言えと?!と慄きながらも、言葉をひねり出す事暫し。

今回も、地獄のやうな思いを致しましたのことよ。
ほんと、何かの武者修行みたい!

で、その武者修行を行った翌日から、夏休み明けのお仕事だったわけで、えーと、うん、もう、ちょっと笑うしかない位の、情況を呈していますよ。
だーかーらー、私は前の人の代わりは無理だってーーー!

ただ、同じ職場のほかの方々は大層気にしてくださって、私が昼休みもご飯食べずに仕事してたり、夜遅くに、職場を右往左往(ていうか、分からない事があったらすぐ聞きに来いって言われたけど、「この仕事終わるまで帰るな!」ってゆった後、上司の人がすぐ帰っちゃったから、行き詰ってもどうしようもなくて、時間がかかっちゃった☆って、くっそー、ぶん殴るぞーー!(野蛮))してたりしたせいか、「かわいそうな子!」みたいになってるのが、ちょっと気持ちがよい!(同情って、開き直って受け取れば、それはかなりの快感なんですよー! 皆、私を可哀相がればいい!)(な、なんて最低な…! プライドがないよこの子は!)

まぁ、異動して半月、一人でお仕事するようになって5日目。
正直、馴れてないせいで、色々非効率的な事をやっちゃいがちなんだけど、そりゃ、まぁ、分からない事を聞きまくっているからで、多目に見て欲しいよ!と思いつつ、なんとかかんとか、毎日過ごせていて、人間とはやはり順応していくものだと実感。
忙しいのですが、うわん、うわん、辛がってた時期から半歩位前進できたので、とりあえず、頑張らずに出来る事を出来るだけ!の精神で。


あ、それとそれと、とりあえず、叫んどこう。

ビルコレさん、新色のニンテンドーDS Lite欲しい!

あ、唐突に、この言葉を入れたのは、本当に欲しいからで、抽選キャンペーンをやってるからで、是非、一つビルコレさんよろしくね!と、お願いしてみたり。

普段だったら「当たるわけないじゃーーーん!」とスルーしがちな私なのですが、えとですね、先日私の住んでいる地域で、サマフェス(とゆうなの、盆踊り大会)がございまして、うちのオカンは、今年自治体の役員をやらされている関係で、そのサマフェス準備に奔走しておった訳なのですよ。
で、毎年、そのサマフェスでは、もっさりとした屋台が出まして(といっても、自治体で準備しているものなので、ほんっとーにもさっとしているのですが)「焼きそば」(150円)「わたがし」(50円)「たこ焼き(8個入り1パック100円)」とか、なんか普通のお祭りの屋台っていうのは、恐ろしい位の暴利なんだなぁと思わせる破格の値段に、「じゃ、今年もよろしく」と私と妹は、オカンからお遣いを頼まれ、二人で「わちし、焼きそばとみたらし買ってくるから、あんたたこ焼き頼んだよ!」みたいに分担して、買いあさり、その日の夜ご飯としていたのでした。(だって、1000円あれば、家族でお腹一杯になれるんだもの!)(しかも、結構美味しい! 焼きそばとか、もう、身体に悪そうなソース焼きそばそのものの味をしていて、私大好物! たこやきも100円とか、驚異的な位美味しかった!)(やめろ! そんな貧しい子を見るよーな目で見るのは!!)

んで、今年も、買い漁りーに二人でお出かけ。
母親は屋台で奮闘しているのかと思えば、原宿の路上で傍らに古びたギターが置いてありそうな位のアウトロー感満載で、地面にシートをひいて、フリマをやっており、その商品ラインナップといえば、目に染みる程の竹内力レベルでの凄みを帯びた逸品揃いで、余りの売れなさに母は、とうとう娘達を捕まえて「CD買わない?! 一枚百円だよ!」と商売を始める始末。
その手に握られるは、「チャゲ&アスカ」と「大事MANブラーザーズバンド」で、フリーマーケットのフリーは、そりゃ「自由」って意味だけど、それにしたってこの商品群は自由過ぎやしないか?と思いながら無残に母を見捨てて、夜ご飯購入に勤しみます。

で、私達のお目当ては、もう一つ、「ビンゴゲーム」
これはですね、うちの地域では、結構豪華な賞品(とはいえ、所詮自治会レベルですが)が当たるビンゴゲームをサマフェスで行っていて、「桃1ケース」とか「西瓜」とか、「食事券」とかが商品になっており、他の地域の人たちも、このビンゴだけを目当てに来たりする事もあるのです。(ビンゴカードは一世帯に二枚ずつ配られますが、そのほかにも一枚50円で購入可能。 50円で、何か商品が当たれば、確かにめっさ得だね!)

で、今年の一等は「フランス料理店の食事券1万円分」となっていて、これは800世帯中たった一人だけがもらえるというスペサルな商品なのですが、まぁ、そういう確率の低いものは端から眼中に入れないようにして、妹と二人「桃、桃♪」(高野ではまったの!)「メロン、メロン♪」とお互いの欲しいものを連呼しあってました。


さて、で、ビンゴゲームになって、小さな公園の小さな夏祭りながらも皆が盛り上がり、「ひゃー!」となりながら、会長さんのご挨拶を聞いて、拍手します。
私は、かすかにその声に聞き覚えがある事に違和感を覚えつつも、心の中は桃で一杯で、是非、当たりますようにとノンノンしてみたり。
んで、ビンゴの番号が読み上げられ始め、「お、空いたv」とか「あ、惜しい」とか、周りの子供や、人々も歓声をあげたり落ち込んだり、よくも、まぁ、こんなビンゴゲームで!!と思える位の入れ込み具合を見せておりました。

んで!!

私のカードなんですけどね、うん、なんか凄い順調で、凄い順調でーー、結構、即効リーチになったのね。

んで、これは、もしかしたら!!と思ったら、わぁい、トップバッタービンゴ!!!!


ひーやーーー! 一万円分のフランス料理ーーーーーーーvvv

とかなって、嬉しくって、嬉しくって、大声で「ビンゴ!」と叫びます。

その瞬間私に集まる注目。
「すーごーい!」「早っ!」と口々に言われ、その人ごみを掻き分け、「あ、すいません、すいません」「あ、ちょっと通してください」とmomiziまっしぐら!になりながら、前方へと出る私。
そんな私の目の前に聳え立つのは大きな物見櫓。

ああ、そういえば、この櫓の上で母親が踊っていて、私軽く死にたくなった時もあったわねと、過去の祭りを振り返ったりもします。
近所の同級生に学校で「お前のかあちゃん、昨日踊ってたよなー」とかゆわれたりして、もう! こんなやぐらに登って、ハッスル(古!)しちゃうのは、とんだお祭り野郎だけだよ!と、一等賞ビンゴの嬉しさの余り、過去の思い出にまで心を飛ばす私。


そんな私に、無情な一声が降りかかりました。


「じゃあ、登ってきてくださーーい!」



…………え????



思わず立ち竦んでみるも、なんか、拡声器を持った自治会のおっちゃんが私を手招いて「上がって来て下さい。 こちらで、確認しまーーす」と叫んでいて、私は目が泳ぐしかない。

登ってきてって、登ってきてって…ここは、学校区も同じな同級生が多分一杯いる所で、近所のお知り合いの人たちもたくさんいて……え?

見下ろせば、まぶしい位の黄色のTシャツ。
そーです、私ってば、「ビグビズ」シリーズのシャツを着て、下は黒いジャージという完璧な休日ファッション。
しかも、黄色シャツなものだから、夜闇に眩しい、眩しい。
思わずよろめきながらも「いや、しかし、フランス料理…」と心を奮い立たせ、櫓の上に足腰立たない風情で(弱ってます!)登れば、そこにはちょこなんと少女が一人。

「同時にビンゴだったので、この子とじゃんけんして下さい」

そう言われ、更に眩暈。

大人として、大人として、この少女に食事券を譲るべきなのか?
握りこぶしで、立ち尽くす少女を見下ろし、一瞬熟考。
いやしかし、ここまで来たら、是が非でも!!!



あ、はい、勝ちましたよ?

や、そこは勝ちますよ。
ビズTで櫓にまで登って、勝たない筈がない。
BIZシリーズのTシャツですよ?
あいつらのTシャツですよ?
私には、健三ちゃんがついているのです!

という訳で、チョキで即効勝って、ビンゴのカードも「無駄がないよ!」といわれる位の、無駄に開いた番号のない綺麗なカードを私、フランス料理をかっさらったワタクシ。

会長が、私に食事券を手渡す前に「じゃ、名前を教えてください」と言ってくれたのですが、うん、やっぱり、なんか、見覚えが…??

そして、名前…櫓の上に立つだけならば、下から見る人にとっては、夜だし、逆光だしなんか色々誤魔化せたけど、名前言っちゃあもう、おしまいだよね?とか思いつつも、「…あ、m、momiziです」と呻くように告げれば、スタッフの方が「はい、momiziさんに拍手ーー!」と絶叫。
湧き上がる拍手、遠くで聞こえる「momiziーー??!! アハハハハハハ!!!!」と何故か爆笑する母の声。
顔を伏せている妹、そして、「momiziさん?」という会長の訝しげな声。

「momiziさんって…僕の、○○の講義取ってたmomiziさん?」

ああああああああ、思い出したーーー!!


この人、うちの母校(大学)の教授だ!!!!!!!!


おおおおお、やばい、やばい、やばい、私、この人の講義、居眠りやら、サボりやら色々で、単位落としてんじゃん!!(最悪)
目が泳ぐ私に、微妙な表情でフランス料理の食事券を渡す会長。
何を言っていいのやら、まさか、ビンゴゲームで、一万円の食事券相手に、黄色い派手なTシャツを着て、「ひゃっほー!」と躍り出て、少女にも大人気なく勝利を収めた小汚い女が自分の元・脱落教え子だという事実に、教授も色々思いを馳せずにはいられないみたいで、ド派手な櫓の上で、ド派手なBGMをバックに、一瞬微妙な沈黙が二人の間を満たします。
ああ、しかし、なんという再会を果してしまったのか?!
相手が相手ならば、恋の一つでも始めてやろうか?!と微妙に半ギレしたいシチュながらも、当然そんな展開はありえず、余計な事を言われる前に食事券を攫うように手にし、慌ててやぐらから降りる私。
「おお、寿命が縮まったよ…」と一万円の食事券とは余りにも重いものを引き換えにしてしまったような気分に陥りつつヨロヨロと妹の元へと戻る私。
「…よかったね、一等」
目を逸らしながら言う妹に「なんて、心無い言葉!!」と慄いた瞬間でした。
櫓の上のスタッフがある番号を読み上げ、そして、妹が無表情に呟きました。

「あ、ビンゴだ…」


…………わぁ。



という事で、数分後桃のケースと、食事券を手に、逃げるようにして会場を去る姉妹。
正統な権利で手に入れた品物であると断言できるものの、どうにもこうにも脳内には「山賊姉妹」の言葉が張り付いて離れません。


母親も自治会の役員などに、「凄いね、子供さんたち」等と何を持ってして凄いという言葉を言っているのか分からぬような台詞を頂いたそうで、欲しいものを掻っ攫うだけ、掻っ攫って、山賊姉妹は、帰宅の途についたのでした。

てな訳で、明日家族でフランス料理を食べに行くのですが、もう、この一連の流れが「ちびまる子」ちゃん的ほのぼのがっくり感に満ちていて、脱力せずにいられません。

後日近所に住む、長い間連絡を取ってなかった友人からも「櫓登ってたね(^-^;)」的な、何、その汗? 何、その汗? 馬鹿にしたいの? 笑いたいの、どっち? どっちなのよ!!と叫びたくなるようなメールを頂き、落ち込んだのですが、そんだけの犠牲を払ったのだから、多分、食べる料理はものっそい美味しいはずです!
うん、絶対!!(思い込むように!)

で、そんな風にくじ運のよい波が来ているのですから、今ならば!
今ならだ、ニンテンドーDSちゃんもお家に来てくれるのでは?と甘い夢を見てみたり。
しかし、考えてみればこの波を逃さない!!と、キャッチザウェーブな心意気ではあったのですが、ビンゴ!と叫ぶ代わりにかいた恥の多さに、むしろ、私、不運だったのではないか?とか気付いてしまい、そこにもがっかりなのです。

あ、あと、あの後母は外国人の女の子に、商品を売りつけたようで「CDがたっくさん売れたよー?」と言われ、おおお、なんか自分の母が外国の方に軽く詐欺行為を働いたかのような罪悪感を覚えてしまったり。
見てみれば、チャゲアスも大事マンブラザーズバンドも売れていて、是非とも異国の地で頑張るその女性の応援歌として活用されてほしいものだ等と、余計な事を考えたのでした