小説の話

視野が狭くなったのよ〜というのは、ユキオしゃんに東京でさせていただいた話。

視野を広く〜とか、広い視点から物事を見て〜とかは、よく聞く言葉なのだけども、私という人間は昔から、一つの物事に取り組んでいる時には、別の物事が目に入らない人間だったりしていたものですし、そういう人というのは案外多いものですから、私は、そういう人間なのだと思って見過ごしていたのですが、最近になって気付いたというか、そうなっていたというか、とにかく私は視野が狭いのです。

一点しか見てないというのでしょうか? 掘り下げようとする余りに、全体像を掴みきってない事が多々ある。

まぁ、それは、それで楽しいのですが、年末また、公募用の小説を書き上げまして、書いているときとかって、それが面白いのか、退屈なのかすら見失いがちで、しかも視野は、本当にお猪口の裏程にもない狭さなものですから、怖くなってしまって、私は高校以来初めて他人に縋りました。

読んで、感想を下さいという風に頼む事に対して、昔から、物凄く抵抗があって、本当に親しい人にしかした事がなくて、親しくても私の中の基準みたいなものが明確にあって(それは、うううん、話を読むという事に然程抵抗がなさそうな人であり、感想というものを伝える際の言葉を惜しまなそうな人というか、なんにしろ親しさに関わらず『読んでいただけませんか』と頼み易い人と、頼めない人というのはあるものなのです)一次創作小説で誰の評価も受けてない、本人が面白いのかどうかすら分かってないものを、どうぞ読んで下さいと送りつけるのは、羞恥心の問題もあって、なかなかし難いことでした。(二次創作となりますと、これも、私は他人様にお贈りするとかそういう事は滅多に出来ない人なのですが、それにしても「趣味が共通の人に、コンセンサスが取れている世界上での創作という付加価値が付いたもの」を贈るという他人のふんどしで相撲を取ってる安心感がありますので、また別の話になるのですよ)

まぁ、ただ、これが、私ではなく他人からもし、送られてきたならばと思うと別段の抵抗はないのです。
私は、部活動やサークル活動で一応部長職にありましたし、文章を書く人たちとの交流があったものですから、自然「読んで感想を下さい」と頼まれる事が、そういう活動をしていない人よりは多かったりします。
そこで目の当たりにするのは、切実なまでに「他者の意見」に飢える書き手の心情だったりします。

これは、自己顕示欲とは、また別の欲望なのですが、純粋に不安なんですよね。
自分が書いている作品がそもそも「小説になっているのだろうか?」という不安。
自分では気付かない致命的な欠陥があるのではなかろうか?
読んで、噴出さずにはいられない位の、「世間」との齟齬がありはしないだろうか?
これを物語として提示しても、おかしくはないのだろうか?

世界を一から作ってるが故に、土台や根本からして自分自身を疑ってしまうのです。
特に私は、世界で一番私を信じていない人間なものですから(今まで一度たりとも自分を信じて何かを行った事なぞないですよ)自分が書いてるものが徹頭徹尾信用できない。

サイトなどに掲載させていただいているものは、心が動くなり、なにか思う事があれば、ご意見やご感想はいただけるし、なければ私が未熟なだけだという風な諦念がきちんとあるのですが、公募のものとなりますと、もう五里霧中、試行錯誤、一寸先は闇状態。
今までは、公募小説は、極一部を除き「自分しか読んでいない状態」で送り、そのまま落選、闇に葬られてきました。
何百ページと書いて、誰にも読まれてない小説なんかザラにある。
とはいえ、まぁ、他人に読んでいただけるレベルに達していなかったので、それはしょーがないよねーという話なのですが、それでいいと思ってたし、実際、自分が信用出来ないものを読んでもらうために、こちらから頼み込んで他人に時間を割いていただくのはおこがましいと思っていたのです。

んが、今年、自分の視野の狭さに気付き呆然とした私は、とてつもない焦燥感を覚えました。

ほんとにたった一言でもいい。
「あ、大丈夫、これ小説になってる」
その一言だけでも欲しくなって、思わず、メールをしていました。

前の日記にも書いたのですが、今回はお二人の方に小説を読んでもらい、意見を頂きました。

ありがたかったなー!!
すんごいありがたかったー。

私は、ちゃんと欲しがって意見を求めてるのに、誰の言葉も貰う機会がなくて、すごいぐるぐるしてた書き手さんを何人も存じ上げているので、私は頼んだ時に「いいよ、読んであげるよ」と言ってくれる人がいるありがたさに震えたのです。

しかも、誤字、脱字を指摘していただき、感想もいただき、これ以上ない位丁寧な言葉をもらえた。

お礼どんだけいっても言い尽くせないですもの。
結果的にあの、自分で言うのもなんでうが、小説良くなりましたもん。
単純に構造的なおかしさとか、誤字が直ったという事もあるし、頂いた言葉を感想を許に追い詰めるべきとこと、もっと削るべき所というのを自分で考える事が出来た。

私は、凄く簡単に、「他人に読んでもらい意見を貰うといいですよー」とか「作家を目指す人同士で、意見交換する事は有意義な事だと思います」とか言ってきたんですけどね、自分自身は他者の視点を乞おうとせずに、狭い世界でずっと書いてきたものだから、ほんとうに嬉しいし、ありがたいしで、良い経験をさせてもらいました。
ていうか、私が言うなってことだよな!
他人に読んでもらうつっても、結局凄く恐々と、自分に優しくしてくれてる人を選んでしまったしな!(とはいえ、どちらも作品というものに対しては正直な方であり、ご意見はちゃんと下さる方々なので、そういう意味での信頼も大きいのですが)

私は今回自分自身の視野の狭さを、他者の視点で補っていただけたわけなのですが、逆に視野が広いっつうのは、どういうことなんだろうなぁ?とかぼんやり考えてみたり。

何となく聞き流していた言葉だけど、視野が広くなるという事はどういうことなのか?
皆目見当がつかないという事は私は今、やはりとてつもなく視野が狭いのだろうなぁと確信しております。

と、いう訳で、私現ジャンルで3月18日に春コミに参加します。
ちゃんと、私のサイトでも告知しとこうと思いまして。
兎エラーのユキオさんと合同参加。
視野が狭い現状で、二次創作に一度魂を削ってみようと試んでみたり。
本を作るという事自体初めてなので、スゴイドキドキしてます。
最初で最後かもしれないイベントなので、ものっそい楽しもうと思います。
詳しい告知は、どちらも該当ページに週末あたりに記載します。
では、では〜〜