愛のむきだし

こういう作品の感想を書く時に、私は、攻撃的な言葉を使いがちで、それは、余り良い傾向ではないなぁとは分かっているのですが、その要因は結局興奮しているからに他ならなくって、やーやーやー、すげー作品です。
DVDで見たんですけどね。
今年一番面白かった。
今年、一杯映画見たのに、これが、一等賞です。

愛のむきだし [DVD]

愛のむきだし [DVD]

全方位に向けて、「良い映画です!」と叫びたいのに、叫べない、このもどかしさ!
ゆらゆら帝国、カンフー、変態、パンチラ、スプラッタ、バカコメディ、盗撮、純愛、サブカル、宗教問題、性愛、親から子への虐待…etc
全部を内包してるせいで、どれか一つにでも嫌悪感がある人は、多分、受け付けないんじゃなかろうか?という、この凄まじい作品は、上映時間4時間(!)という大作ですが(それでも削ったほうで、本当は6時間あるそうです。 見たい! 見せてくれ!!)一切中弛みもなく、私は圧倒され尽くしたまま、視聴を終えました。

あー、もー、やーっぱ、あたし、邦画が好きで良いですー!(爽やかに)

や、カールじいさんも、素晴らしかったし、2012はCG素直に凄かったし、単純にジャンル、国、関係なく面白い映画が好きな人間ではあるのですけれども、嗜好として、この愛のむきだしにて表現されていた世界が、好きで、好きで、たまらなく好きで痺れました
今まで、映画は大好きだけど、映画によって、価値観の変化とか起こらないだろうと思っていたのですが、これは、ちょっと、ほんと揺らがされた
そういう類の作品だった
こういう映画が好きな自分で生きてくしかないんだなーという絶望感も味わった☆
お、おおお、おでだって、普通に、なんか、等身大? とか? 日常感溢れるるナツラルな作品とか? 下半身に一切直結しないような、そういう映画だけ喰って、満足できる感性のが楽だろうと思うさ!
この映画を好むという事自体をもって、自分という人間の人間性にまで思いを馳せてしまったさ!

でも、名作です
これ、ほんと、凄い作品なんですようおうおう!!
もう、じっとしてられない感じ!!
沸々と沸き立つような感じ!

とにかく、私が「自分探し」と並んで嫌いな言葉ランキングトップをひた走る「サブカル」という言葉をあえて使って言いたいのですが「サブカル」好きな人は、嫌悪感はそう抱かず見れると思いま…す(弱腰)(別段エログロがきついとか、全然ないのですが、ハードルって人それぞれだから、自分が越えられたからって、他者は大丈夫とかは簡単には思いがたいんですよねい)

基本的に、私は性犯罪に対して「滅せよ!」というスタンスである事は大いに表明しますし、盗撮を奨励とか、勿論するわけじゃないですけども、この映画において描かれる、アガペー、つまり不朽で無償の愛と、エロスとの矛盾が、盗撮という交差点を介して、馬鹿馬鹿しく、ドラマチックに、そして、純愛として昇華されていく、この見事な、まさにむきだしというべき、一切の手加減も、迷いも、弱さも、何もない、強い、強い、強い、作品全編を貫く志を前にして、やっぱり、もう、言葉は一切届かないなーって思わされます
本気で凄いものを表現する語彙なんて、私にはない
この現代社会における、アンビバレンツを全てむきだしにし尽くしたような、二律背反性が主題の映画だったようにも思うんです

これは、ほんとに、見て欲しいです!とかって簡単に言えないんですけど!
言えないし、これ、ほんと、ある意味ピンポイント私なので、逆に、下手に薦めて「私はあんまりだった…」っていわれると、自分の人間性を否定されたような気になるであろう事は容易に想像がつくので(それ位、私の嗜好に密接してました)お友達とかには、逆に怖くて薦められないレベルなんですけど、あああ、でも、凄いんです
ほんと、凄かったんです

役者も、もう、わかんなくなったー!(両手をえーい!と広げつつ)

芝居が巧いってなんだ?!
演技力ってなんだ?!
結局気合じゃなかろうか?と
役者が命かけて、死に物狂いでっていうか、カメラの前で、何でもするっていう覚悟をもって芝居したら、それだけで、圧倒的な芝居を見せられてしまうんじゃなかろうか?と、苦悩するレベルで凄まじかった

主演、ヒロイン、セカンドヒロイン、どれも、筆舌に尽くし難い境地に達していました

主演とヒロイン、アイドル出身だぜ?

AAAに、Folder5だぜ?
超舐めてた! 死ね! 舐めてた私、死ね!!

凄かったです。
体当たり演技とか、ありきたりの言葉を使いたくない位、むきだしすぎて、ヒリヒリしました
アクションも、超絶かっこよくて、好きな動きだー!って思ってたら、坂口拓ちゃん直伝って事で、超納得(回転多くて、低い位置からの蹴り上げ多用されてて、見た目が派手なので、凄く好きなんです!)
てか、主演の西島さん、すげー、すげー、すげー!
全編に渡って凄すぎる
これ初主演とか、鬼か! お前は鬼か! この作品以外でも、こんだけ凄いのかどうかは分からないのですが(監督の力が大きいような気がします)この作品に関しては、完全に鬼とか、神とか、とにかく人智を超えた何かが降りてんじゃね?レベルで凄かったです
滑稽で、美しく、情けなく、醜く、卑小で、だからこそ、男の中の男でした
かっこよかったです
本当に、かっこよかったです

それは、ヒロインの、満島さんも同じくで、映画なの? これ、マジで映画なの?級のリアル演技に、ナチュラルとか、背伸びしない芝居とかってのが、正直、好かない私としては、「おでの女神!」と感極まる位の、デフォルメ感が物凄いバランスを保っていて、リアルなのに大袈裟というアンチテーゼを孕んだ存在感が、圧倒的で、もう、もうもう、あああ、大好きー!!って感極まりましたってか、ほんと、この主演と、ヒロイン、すげー!

あと、奥田瑛二の娘、安藤サクラは、パなかった!
ケラさんの罪とか罰とかでも「この子好きだなー」とは思ってたけど、今回、凄すぎた!!
決して、ええ、決して美人じゃないです
でも、エロいの! 不気味エロイの! ふてぶてしくて、不気味で、狂ってて、壊れてて、エロいの!
この人の凶暴性と、あのとんでもねぇ目付きと、身のこなしと、気持ちの悪さと、過虐性と、変態っぽさと、とにかく、エキセントリック様ともお呼びしたくなるような立ち居振る舞い、台詞回し、表情が、ほんとに、背筋にダイレクトにキてくれて、この三人の、この作品終った後、死んだんじゃね?レベルのやりきりっぷりに、私は、とにかく平伏したいのです

何? この振り返らないがむしゃら感!
命懸けてるってことを、芝居でだけ表現し尽くした、本能で演じているような、焼け付く感じ!
圧倒されたー
超圧倒されたー
芝居巧いってなんだー?

もう、分かんない!
一概に言えない!

巧い下手のレベルじゃないもの見た気がするもの
役を生きるって、これかー!って思っちゃったんだもの!
この三人は役を生きてたんだもの
切ない位に
泣ける位に

芝居に打たれるって気持ちは、こういうものかと、項垂れました

感動しました
あー、もー、どうしようもない位感動しました
見てよかったー!

尾上寛之目当てで借りたのですが(凄く可愛くて、芝居に関しては圧倒的技術を持ってる人なので、安定して素晴らしかったです)渡部とか、特別出演メンツも、チラホラ、「ぎゃあ!」というメンツが混じってて(個人的に、神父吹越に超滾りました!)でも、そういうミーハーな感情を、殆ど抱けずに飲み込まれたなー

こんな感動する邦画、初めてかもしれん

そんで、だからこそ、私は感想をこんなに、反射的に、酷い文章で書きなぐるけれども、誰かに薦めたいとどうしても思えないんだろうなー
好き過ぎて、否定される事が凄く怖い
人それぞれの感想を抱いて然るべきという理屈に従うが故に、薦められないんだろうなー

私は好きでした
感動しました

ので、スマさん達が色々始動してて、ソフトバンクのCMも放映されたとゆーのに、こういう感想を、空気読まずに書いちゃいました

ひゃー すげーもん見たー
そんで、すげー監督がいるもんだー
この作品の凄絶さは、監督の力が異常故の仕業のようにも思います

園子温さん、他の作品も急いで見なきゃ!

とりあえず「自殺サークル」と「紀子の食卓」は見たいと思います!